どうも!ブランドクリエイターの中江です。
「ブランドって何?」「具体的にどうやれば作れるの?」という人は意外と多いんじゃないでしょうか?
ブランドを作ることが大切ということは事業をやっていれば、よく聞くと思いますが、具体的に「ブランドとは何か?」ということを説明できる人は少ないと思います。
また、これからの時代、ブランドを築いていくことは非常に重要なポイントになります。
ブランドを築いていくことができれば
- 価格競争
- 集客
といった悩みから解放されるだけでなく、長く繁栄していく事業を築いていくことが出来ます。
この記事を読んでもらえると「ブランドとは何か?」「具体的にどうやって作ればいいのか?」が分かるようになるので、ぜひ、読んでみてください。
では、早速始めていきましょう!
Contents
1.ブランドとは何か?
では、まず、ブランドとは何かという話をしていきたいと思います。
ブランドとは一言で表現するなら
特定の人たちにとって究極の価値になっている状態
を意味します。
例えば、Aさんが美容院を行くとします。
美容院を選ぶとしても、今の時代は選択肢が様々あります。
例えば、渋谷に絞ったとしても、ネットで探せば202件も見つかります。
画像出典:https://beauty.hotpepper.jp/
この時に他の美容院と比較検討せずに、自動的に
美容院に行くなら○○という美容院しかあり得ない
ともし、Aさんに思ってもらえているとしたら、そのお店はAさんにとってブランドです。
消費者が商品・サービスを選ぶ理由は
- 価格
- 品質
- 量
- 機能
- 実績
- 認知度
- 権威性
- 製造環境
- コンセプト
- デザイン
など、様々ありますが、総合的に
このお店・会社を選びたい
と思ってもらえている状態がブランドです。
比較検討されないので、価格が相場よりも高かろうが選んでもらえますし、お客さんも離れていきません。
周りがどうだろうと関係なく、あなた(会社・お店)を選んでくれるのです。
ブランドになることができれば、価格競争や集客の悩みとも無縁になることができるというわけです。
ただし、ブランドというのはあくまでも相対的です。
Aさんにとってその美容院がブランドであったとしても、Bさんにとってはブランドではないということはあり得ます。
シャネルが好きな人もいれば、嫌いな人というのもいるというわけです。
それは消費者が意思決定において「何を大切にしているのか」という価値観が違うからです。
例えば、
自分にとって究極の美容院とは?
という問いに対して、の答えはバラバラでしょう。
とにかく安さ重視の人もいれば、スタッフの人柄という人もいれば、カットの質という人もいるでしょう。
これが価値観の違いです。
なので、ブランドを作る上で重要なのは
どんな人にとってのブランドなのか?
と定義していくことです。
この辺りのブランドの作り方については記事の後半で詳しく説明していきます。
ブランディングについては、以下の記事でも詳しく解説しているので、興味がある人はぜひご覧ください。

2.ブランドの成功事例
では、次に実際にブランドになっている成功事例を紹介していきます。
この成功事例を見て「ブランドとは何か?」というイメージを掴んでいってください。
2-1.minä perhonen
では、まず最初に紹介するのは、minä perhonenです。
画像出典:https://arthur.jp/
minä perhonenは
人生に寄り添う服
というコンセプトを掲げるファンションブランドで、現在は服だけでなく、インテリアや雑貨なども扱っています。
一般的なファッションブランドは、トレンドから逆算し、売れるアイテムを作り、大量生産して、シーズン毎に出して、販売していきます。
そして、売れ残りは期末セールで値下げして、一気に売り切り、またトレンドを軸にした新しい商品を大量生産して、販売して、また買ってもらうという流れですね。
つまり、ファッションブランドとしてのスタンスは
服は飽きれば使い捨て
というものです。
minä perhonenは、一般的なファッションブランドとは真逆のスタンスを持つブランドです。
とにかくブランドの価値基準としては
使い捨てるのではなく、愛着を持って、長く着続けてもらう
ことを大切にしています。
長く着続けられるように素材や製造工程にもこだわっており、生地は全て国内の優秀な職人たちと作りあげ、洋服のフォルムだけでなく、デザインまで手掛けます。
そして、購入した服は、minä perhonenの店頭に持ってきてもらえれば、何度でも修繕します。
だから、minä perhonenを買うお客さんの中には、20年前に購入したコートを修繕しながら今でも愛着を持って、着続けるという人もいるそうです。
販売形式も真逆です。
シーズン毎に新しい商品をどんどん生産していくというよりも、一度、世の中に出した商品は、長く販売していくという形をとっています。
ワンピースの価格帯は4~7万円ほどしますが、値下げセールはこれまで一切したことがないそうです。
トレンドを追ってないので、シーズンごとに売り切る必要もないですしね。
minä perhonenの大きな魅力の一つは、デザイナーの皆川さんが手掛ける独特なテキスタイルデザインです。
皆川さんは、日常の中にある印象に残ったモチーフから服のデザインを作り上げていきます。
この独特なテキスタイルデザインに多くの人は魅了されます。
トレンドを追ってないからこそ、独特の世界観が生まれるのです。
当然、この世界観は皆川さんしか表現できません。
だから、この世界観に魅了された人はminä perhonenから離れないのです。
こういうのが流行っているから
と、トレンドを追うデザインというのは得てして無個性になっていきます。
だから、ファンは付きません。
minä perhonenはファッション業界の常識とは逆をいってますが、20年以上、売上は一度も下がったことがないそうです。
まさにブランドと呼ぶのにふさわしいでしょう。
2-2.いわた書店
では、次のブランディングの成功事例は北海道の砂川市にある「いわた書店」です。
画像出典:https://busy.org/@yukiando/nhk-yen
この写真だけ見ると、何の変哲もない、町にある小さな個人書店のように見えますが、
3000人待ちの本屋
と呼ばれています。
街の人だけでなく、日本全国の人がこの書店で本を買いたいと、こぞって列をなすのです。
いわた書店の代表は岩田徹さんという方で、このお店は1958年にお父さんが始めたお店でした。
そして、父親が体調を崩したことを受けて、徹さんが23才の時に、この本屋で働き始めます。
徹さんが働き始めた頃は、日本は行動経済成長の時代で、景気はとても良かったそうです。
ただ、問屋から「これを仕入れたら売れる」と言われた本を仕入れれば、飛ぶように売れていったそうです。
このお店は自分じゃなくてもできるよな…
という思いを抱えながらも、経営的には順調でした。
ですが、バブル経済の崩壊とともに、状況は一変します。
景気の悪化や本以外の娯楽の登場などもあり、問屋に言われた通りに本を仕入れても売れなくなり、全国的に本屋の倒産ラッシュが始まったのです。
街の本屋が次々と消えていく中で、売り場を広げたり、営業時間を伸ばしたり、宅配を始めましたが、利益は出ずに赤字がずっと続きます。
このままだと潰れる
と思いましたが、参考にできる書店すら見つからず、何をどう改善していけばいいのかわかりません。
いつ倒産してもおかしくないという不安を抱えて、眠れない日々が続き、ついには吐血して、徹さんは病院に運ばれます。
そして、病院のベッドの上で
自分は何のために本屋になったのか?どんな本を売っていきたいのか?
と自問自答したそうです。
そして、退院して、いわた書店に戻り、ふと「逝きし世の面影」という本が目に止まりました。
この本は幕末の日本の様子を鮮明に買いた本で、徹さんの人生に大きな衝撃を与えた本でした。
どうせやるんだったら、問屋に言われた本じゃなくて、自分が面白いと思える、人の人生に衝撃を与えるような本を売りたい
と思ったそうです。
それから書店の棚の陳列も一新します。
問屋に言われた通りの本を置くのではなく、「衝撃的で、面白い本」を中心に置くようになりました。
そして、いわた書店を「3000人待ちの本屋」にした新サービスが始まりました。
1万円選書
というサービスです。
1万円選書とは、1万円という予算の中から「その購入者の人生にとって必要だと思う本」を探してくれるサービスです。
これは徹さんの高校の先輩から
1万円で俺似合う本を探して欲しい
という依頼をきっかけに始まったサービスです。
口コミでこのサービスは徐々に広がり、新聞やその他のメディアにも大きく取り上げれられて、一気に有名になりました。
この1万円選書で出会った本で、人生が変わった
という声が全国から届いているそうです。
書店は全国にありますし、Amazonで探せば、すぐに家にまで届く時代です。
そんな時代でも「いわた書店で本を買いたい!」と言ってくれる人が全国でいるのはまさにブランドと呼べるでしょう。
その他のブランディングの成功事例は以下の記事にまとまっています。


3.ブランドになるための方法
では、最後に具体的にブランドになるためにはどうすればいいのかという方法について解説していきたいと思います。
3-1.ブランドの方向性を決める
まず、最初にやるのは、ブランドの方向性を決めるというステップです。
つまり「究極の価値とは何か?」を決めるステップです。
例えば、美容院をブランドにしたいのであれば、
究極の美容院ってどんな美容院?
ということを決めるということです。
これを決めないことにはブランドは作ることができません。
ブランドとはあくまでも相対的なもので、「特定の人にとっての究極の価値」なのです。
だから、ブランドには方向性が必要なのです。
具体的にいうと
- 誰にとってのブランドなのか?
- その人たちにどんな商品・サービスを届けるのか?
- その商品・サービスを通じてどうなってもらいたいのか?
という3つを定めることが大切です。
これを書き出していきましょう。
また、この理想を思い描く時点では、今の時点での現実的な制約に関しては一切無視してください。
特に「どんな商品・サービスを届けるのか?」という部分では
- 資金
- 人材
- 素材
- 環境
などの要素が大きく関わってくるかと思いますが、この制約を考慮に入れると、小さくまとまったアイディアしか出てこないからです。
小さくまとまったアイディアでは人を魅了することはできません。
ブランドを実現していくのは段階的でも良いのです。
例えば、カフェをやるとして、究極的にはコロンビアとかに直営農園を持ってそこで栽培したコーヒー豆で、お客さんにコーヒーを楽しんでもらうことが理想とします。
でも、いきなりカフェの立ち上げの段階で、海外に農園なんて持てません。
だったら、最初は、世界中で栽培されている良質な豆を厳選することから始まるかもしれません。
でも、それでいいのです。
経営が上手くいき、投資できるタイミングになれば、海外の直営農園を買えばいいのです。
ただし、これも最初に理想を描いておかなければ、直営農園を買うという発想にすらなりませんし、方法にすらアンテナが立ちません。
理想は実現していなくても、語っていくことでファンを作っていくこともできます。
だから、自由に思い描きましょう。
また、上手くアイディアが出てこないという人は、自分が所属している業界のプレイヤーを見てください。
着目すべきポイントは
- どんな人を対象にしているのか?
- どんな商品・サービスを提供しているのか?
- 商品・サービスを通じてお客さんにどうなってもらいたいのか?
- なぜ、その事業を始めたのか?
です。
これを意識的に見ていくだけでも「言いたいこと」って出てくるはずです。
私だったらもっとこうした方が良いと思う
という意見です。
もし、ファッションブランドを立ち上げるなら、業界にどういうプレイヤーがいるのか見るのです。
- 売ることを中心に考えられた服作り
- 大量生産されて、余ったものは廃棄される
- 服は常に使い捨て
- シーズン毎に売り切る
- バーゲンセールを繰り返す
- トレンドに基づいた無個性な服
- とにかく安さ重視
というファストファッション業界のプレイヤーを見れば、minä perhonenのように
愛着を持って、長く着続けてもらい、その人の人生に寄り添うような服
というようなコンセプトが生まれてくるかもしれません。
この「言いたいこと」というのが自分のブランドの核になるので、必ず見つけるようにしましょう。
3-2.ブランドコンセプトに落とし込む
そして、ブランドの方向性が決まったら、ブランドコンセプトに昇華させていきます。
ブランドコンセプトとは、ブランドの方向性を一言で表現したものです。
- 誰にとってのブランドなのか?
- その人たちにどんな商品・サービスを届けるのか?
- その商品・サービスを通じてどうなってもらいたいのか?
この3点を一言で表現するなら、どうなるのかということを考えてみましょう。
minä perhonenであれば
人生に寄り添う服
です。
ブランドコンセプトとして表現できると、一言でブランドの方向性を伝えることができるので、ブランドの価値が伝わりやすくなります。
ブランドコンセプトを作るコツは、関連するキーワードをとにかく書き出していくことです。
恐らく、ブランドの方向性を考える際にキーワードはたくさん出てきたと思います。
その出てきたキーワードを組み合わせたり、削ったり、足したりしながら一言で表現できるブランドコンセプトを見つけていきましょう。
ブランドコンセプトの作り方は以下の記事でも詳しく解説しています。


3-3.ブランドを体現していく
そして、最後にブランドを体現していくというステップです。
ブランドというのは究極の価値です。
なので、最終的には、ブランドコンセプトが完成したら
- 機能的価値
- 感情的価値
という2種類の価値を自分の事業ステージに合わせて、可能な限り高めていきます。
価値が高ければ高いほど、消費者に選ばれる可能性というのは高くなります。
機能的価値とは、
- 機能
- 効能
- 品質
- 量
- 素材
といった論理的な価値のことだと思ってください。
このどの部分を高めていくのか、何が価値になっていくのかというのはブランドコンセプトによって変わります。
ターゲットがとにかく「長く愛着を持って、着続けられる服」というものを求めているのであれば
- 高品質の生地
- 何度でも修繕できるサービス
を提供していくことがブランドに繋がっていきます。
ですが、ターゲットが「とにかく着心地の良い服を安くで着たい」ということを求めているのであれば
- リーズナブルな価格
- 着心地の良さ
を提供していくことがブランドに繋がります。
自分がどういう人を対象にしたブランドにするのかによって、高めていくべき機能的価値というのは変わっていくのです。
では、続いて、感情的価値について。
人は機能性といった論理的な面以外に、感情的な面でも価値を感じます。
一番分かりやすいのが「デザイン」ですね。
機能的価値がほとんど同じであれば、自分の好みのデザインを決め手に商品サービスを選ぶ人は多いと思います。
別にそこには論理性はなくて、あるのは「好き」か「嫌い」かという感情的な価値観のみです。
これが簡単にいうと感情的価値です。
感情的価値には
- コンセプト
- ストーリー
- キャラクター
- デザイン
という4つの側面があるので、これも機能的価値と同様に高めていく必要があります。
コンセプトとは先ほど解説したブランドコンセプトのことです。
そのブランドが示すコンセプトは万人に受け入れられるわけではありません。
そのブランドの方向性に共感できるかどうかは、その受け入れる相手の価値観によるからです。
でも、それでいいのです。
特定の人に受け入れられるからこそ、ブランドであり、ブランドとしての方向性を示さない限り、ブランドにはなれないので、コンセプトは可能な限り、言語化して、提示しましょう。
そして、次にストーリーについて。
ストーリーもうまく表現できると、ブランドとしての価値が高まっていきます。
ストーリーは大きく分けて
- ブランドのストーリー
- ブランドを取り巻く人とのストーリー
の2種類に分かれます。
まず、ブランドのストーリーというのは、言い換えるのであれば、
なぜ、このコンセプトを掲げたブランドが始まったのか?
というブランドの原点となるストーリーのことですね。
ブランドを作るにあたって、この原点というのは問われます。
先ほどブランドの成功事例で、いわた書店という本屋のストーリーを紹介しましたが、あれがまさにストーリーです。
あのストーリーを聞くだけで、いわた書店の1万円選書というサービスに興味を持ち、ファンになってしまう人もいるでしょう。
ブランドストーリーというのはブランドを成立させるための絶対条件であります。
なぜ、あなたはその事業をやっているのか?
これに明確に答えられなければ、ブランドにはなり得ません。
事業を始める動機というのは
- 自己を満すため
- 世のため人のため
の2種類しか存在しません。
世の中のほとんどの事業は「自己を満たすため」という動機で始められています
- 今流行ってるし、儲かるから
- 楽して儲けられるから
- 先行者利益があるから
- 自由になりたいから
などですね。
「なぜ、事業を始めたのか?」という問いに対して、このような「自己を満たす」答えしか出てこないと、ブランドにはなり得ません。
自己を満たすために始められた事業というのは、結論からいうと「儲かるか儲からないか」という合理的な基準に最も照準を合わせた経営になります。
もちろん、それでも事業で収益を上げていくことは可能ですが、一生、競争に巻き込まれ続けます。
というのも、「合理性」という壁を超越できないからです。
ブランドというのは、自分が思い描く理想を最高の価値基準において、時には合理性を超えるような経営判断をすることができます。
世の中でブランドになっている企業でそれをしていない企業はありません。
例えば、京都に「一澤信三郎帆布」という100年以上続く老舗のカバン屋さんがあります。
画像出典:https://www.ichizawa.co.jp/
一澤信三郎帆布のブランドコンセプトは
よそ行きの華やかさはないけれど、毎日飽きずに使えるかばん。何年も何十年も使い込むほどに、「いい顔になってきたね」といわれるような表情のあるかばん。そんなかばんでありたいものです。
です。
日常で使えて、使い込めば使い込むほど味が出て来るようなカバンを提供しています。
京都の店舗には日本だけでなく、世界中からお客さんが足を運び、インターネットでも常に予約待ちです。
なぜ、一澤信三郎帆布にはこれだけのファンがいるのか?
一つの側面から言うなら「合理性」という壁を越えているからです。
一澤信三郎帆布はブランドコンセプトを体現することを最大の価値基準に置き、全てを捧げています。
それ以外のことは二の次なのです。
例えば、一澤信三郎帆布は全国に店舗展開をしません。
いったいなぜか?
カバンの品質を保つためです。
全国に店舗展開するとなると、カバンの全ての品質に目を行き届かせることが出来なくなるからです。
正直、これだけメディアに取り上げられていれば、工場を増やし、全国で展開すれば利益は一気にあげられるでしょう。
でも、それをあえてしないんです。
品質が下がれば、ブランドコンセプトを体現できなくなり、もはやそれは一澤信三郎帆布のカバンですらないからです。
また、一澤信三郎帆布ではカバン修理も受け付けていますが、採算は取れていません。
ですが、製造責任として引き受けているのです。
でも、そこまでやってくれているからこそ、ファンになるんです。
合理的で自己を満たすことを最優先においている企業なら絶対にできない経営判断です。
同じコンセプトを掲げていても、
とっとと全国展開しよう
カバン修理は採算が取れないからやめよう。やるならもっと儲かる方法で修理しよう
となります。
確かに一時的には儲かるかもしれませんが、品質は下がり、結果としてブランドコンセプトも体現できなくなるので、お客さんは離れていきます。
だから、長く繁栄していくブランドを作るんだったら、儲ける以上の理由が必要なのです。
その理由というのは、自分の人生のストーリーに眠っています。
いわた書店が、なぜ、1万円選書を始めたのか?
そこには、岩田さんの人生が詰まっています。
そして岩田さんの人生は、岩田さんだけしか歩めません。
ストーリーはブランドに究極の価値をもたらしてくれます
「世のため・人のため」というのは自分以外の人の幸せを願う心と言ってもいいでしょう。
その人の人生が変わるような本を届けたい
そういう思いがあれば、ブランドは作ることが出来ます。
また、
- お客さん
- スタッフや仲間
といったブランドを取り巻く人とのストーリーも表現してみてください。
これもブランドとしての価値を高めていくことに繋がります。
例えば、
自分の商品・サービスを利用してくれた人が、どうなっていったのか?
というのもブランドを取り巻く人とのストーリーです。
一万円選書を通じて、これだけ人生が変わったというストーリーがあれば、そのブランドに信頼が生まれます。
信頼が生まれれば、
利用してみよう
と思ってもらえるようになります。
ストーリーについては、以下の記事でも詳しく解説しています。


では、次にキャラクターについて。
キャラクターは
どんな人がそのブランドに関わっているのか?
という価値です。
minä perhonenの代表を務める皆川さん。
画像出典:https://hikiyosesmith.hatenablog.com/
皆川さんは高校卒業までに、進学なのか就職なのか、進路が決まらずに、パリ旅行に行ったそうです。
そこで偶然、出会ったのがパリのファッションショーの裏方の仕事。
そこでファッションの世界に魅了されて、運命を感じて
これを一生の仕事にしよう
と決意して、日本に戻ります。
日本に戻ってからは、服飾の専門学校に入ります。
今となっては日本を代表するデザイナーなので、元々才能があったのかというと、そうではなかったそうです。
簡単なポケットを縫う裁縫の課題ですら、うまく出来ずに、普通の人なら2年で卒業できるところを3年かかってやっと卒業できたそうです。
ですが、皆川さんは、ファッションを一生の仕事にすることを諦めません。
裁縫工場やアパレルメーカーに勤めながら、裁縫や生地のことを学び続け、27才の時にブランドを立ち上げます。
自分の才能では通常のデザイナーがやるようなフォルムだけのデザインでは評価されないと思い、生地のデザインから、なるべく自分が服の製作の全てに関わるようなスタイルの服作りを目指します。
ですが、当初は、お金も信用もなかったため、自分の服の生地すら作れませんでした。
そこで、自分の服の生地を作らせてもらう代わりに、工場でただ働きします。
当然ですが、生活費も稼がないといけなかったので、早朝の4時から魚市場でバイトします。
当時の睡眠時間は3時間ですが、一向に服は売れません。
ですが、皆川さんはインタビューでこう語っていました。
楽しいとか、つまらないとか、うまくいくとか、うまくいかないということで、この職業を捨てるつもりはないし、それによって自分の仕事を計ることもない。
そして、徐々にセレクトショップで認知されていって、どんどん売れるようになっていきました。
minä perhonenはありとあらゆる面で、価値が高いブランドですが、僕は皆川さんの仕事の姿勢や生き方を含めた人間性にも惹かれます。
これがキャラクターの力です。
これを表現していくこともブランドとしての価値になるのです。
キャラクターについては以下の記事でも詳しく解説しています。


では、最後にデザインについて。
デザインはブランドの価値を非言語で一瞬で伝える役割を持ちます。
デザインをうまく活用できると、ブランドの世界観に人を惹きつけることが出来ます。
例えば、これは今治タオルという日本を代表するタオルブランドですが、言語でこのタオルの凄さを説明しなくても、この写真を見るだけで、品質の高いタオルだということが伝わってくると思います。
画像出典:https://imabari-towel.jp/
これが一言でいうと、デザインの力です。
デザインについては以下の記事でも詳しく解説しています。


ブランドのまとめ
では、最後に今回のまとめをしておきたいと思います。
ブランドとは
特定の人たちにとって究極の価値になっている状態
です。
ブランドになることができれば、ライバルとの比較検討なしに、自動的に選ばれるようになるので、価格競争や集客の悩みからは無縁になることが出来ます。
そして、まずやるべきことは、ブランドコンセプトというブランドの方向性を定めることです。
ブランドはあくまでも特定の人たちにとって究極の価値になっている状態のことなので、自分がどういう方向性を持っているのかを示さないといけません。
なので、まずは
- 誰にとってのブランドなのか?
- その人たちにどんな商品・サービスを届けるのか?
- その商品・サービスを通じてどうなってもらいたいのか?
を書き出してみましょう。
そして、それに関連するキーワードを書き出して、組み合わせて削ったりしながら、ブランドコンセプトとして、一言にまとめ上げていきます。
これがまず最初にブランドを作るためにやるべきステップです。
そして、次にそのブランドコンセプトに基づいて
- 機能的価値:機能、品質、素材、量
- 感情的価値:コンセプト、ストーリー、キャラクター、デザイン
を今の事業ステージに合わせて、極限まで高めていける施策を考え、ブランドを体現していきます。
これがブランド構築のステップになります。
では、今回は以上になります。
お疲れ様でした!