どうも!ブランドクリエイターの中江です。
今日は「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)」というテーマでお話していこうと思います。
ブランディングやマーケティングについて勉強されている方であれば、「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)」という用語は一度は聞いたことがあると思います。
Contents
1.CRMとは
まずは、CRMとは何かということについて解説します。
1-1.CRMの意味
CRMは、日本語では「顧客関係管理」と訳され、顧客と良好な関係を築き、顧客満足度を上げて、「○○ならこのブランドしかない」というファンを作り、中長期的に売上・利益に繋げていく戦略のことです。
CRMを「顧客の関係管理を促進するITツール」のように表現している場合もありますが、あくまでもITツールは、顧客との関係性を良くするための補助ツールなので、基本的な認識としては
顧客と良好な関係を築き、中長期的な売上UP・利益UPに繋げていく戦略だ
という風に考えてもらえれば、大丈夫です。
このCRMという考え方は、これからの時代、非常に重要になってきます。
1-2.CRMの重要性が増す要因
これは前回のファンマーケティングについての動画でもお話しましたが、これからの日本では、新規集客の難易度はどんどん上がっていきます。
一つ目の要因は、インターネットが普及し、情報も商品もエンタメも世の中に溢れてしまうようになったからです。
現代人が1日に受取る情報量は江戸時代の1年分、平安時代の一生分もある
と言われています。
PCやスマートフォンを1台持てば、処理し切れないほどの膨大な情報と出会うことができます。
例えば、今、PCを開き、ZOZOTOWNでTシャツを検索すると、約25万点のTシャツが出てきて、それがいつでも購入できるような状態になっています。
これはインターネットが普及していなかったら、ありえない現象です。
また、1日数百円から出稿ができるインターネット広告が普及したことによって、広告を出稿する企業も規模問わずに大量に増加しました。
これまでの広告はテレビや新聞や雑誌などのマスメディアの広告で、1回数百万円〜数千万円の広告が必要で、それなりに体力のある企業しか広告は出せませんでした。
しかも、インターネット広告のターゲティング精度は高く、ユーザーの興味に基づいて、広告が表示されます。
例えば、ダイエットの情報について調べている人には、ダイエットサプリメントの広告が何社も表示されます。
それぞれ効果・効能を見ても、ビフォーアフターも見ても、どの商品も素晴らしいことばかりが書かれているので、
結局、どれを選べばいいのかわからない
というような状況になっています。
結果として、広告の費用効果というのは、全くない訳ではないですが、だんだん下がってきている傾向にあります。
2つ目の要因は、日本では少子高齢化が加速していることです。
日本では40年以上前から指摘されてきても、根本的な解決策は打ち出せていないという状況にあります。
少子高齢化が加速していくと、どんな業種・業界であれ、物理的に顧客層はどんどん少なくなっていく傾向にあります
これは内閣府の予測データですが、2060年には、日本の人口は8674万人にまで減少します。
画像出典:http://www.ee-life.net/
40年で、約4000万人の人口が減少するという計算です。
ピーク時は1億2000万人を超えていたわけで、単純計算ですが、普通に商売をやっていても、自然と売上は25%下がるということです。
これは店舗など地域密着型の事業をされている方には、かなり直接的な影響が出ることが予想されます。
人口減少のペースは地域によって変わってくるので、一度、自分の地域の人口動態などの統計データをチェックすることをお勧めします。
しかも、この時の人口比率に関していうと、このうちの半数以上が、60歳以上になると予想されています。
高齢者層というのは基本的には保守的です
好奇心を持って、新しいものに手を出すというよりも、これまで使い続けてきたものを購入するという傾向にあります。
例えば、掃除機を買うにしても、若い人のように、何店舗も梯子して、インターネットでも検索して、調べ尽くしてベストの商品を買うというような行動力はありません。
だから基本的には、これまでの馴染みの店で買うという人が非常に多いです。
とにかく上記の2つの要因によって、新規集客の難易度というのは上がり続けているということです。
チラシにしても、WEB広告にしても、ブログにしても、SNSにしても、昔の方がよっぽど簡単に結果が出ましたが、今はそうはいかないという訳です。
では、一体どうすればいいのか?
そこで出てくるのが今日のテーマである、顧客との良好な関係を築き、中長期的に売上・利益をあげていく「CRM」という考え方です。
2.CRMの重要性がわかる事例
今日はCRMの重要性がわかるとっておきの事例を一つ紹介したいと思います。
それが東京の町田市にある「でんかのヤマグチ」という街の小さな電器店です。
画像出典:https://itot.jp/
街の小さな電器店は1990年以降に登場した、ビックカメラ、コジマ、ヤマダ電機などの大型家電量販店が登場したことによって、多くのお店が苦境に立たされ、倒産していきました。
実際に都会になればなるほど、小さな電器店は見かけなくなっていると思います。
一体、これはなぜなのかというと、「価格の安さ」と「品揃え」などの「物量」の観点から、小さな町の電器店は大型家電量販店には敵わないからです。
小さな町の電気店は、店舗面積も限られているので、一度に仕入れられる量は、大型家電量販店には太刀打ちできません。
大型家電量販店は一度に大量の仕入れができるので、仕入れ値を安く抑えることができるので、必然的に、街の小さな電器店よりも安くで販売することができます。
となると、必然的に、消費者は、豊富な品揃えがあって、安くで製品を買える、大型の家電量販店に流れます。
だから、町の小さな電器店は、価格競争に勝てずに、消えていったのです。
ですが、この大きな時代の潮流に飲み込まれずに、20年以上、黒字化を続け、大型家電量販店より利益率もはるかに高い数字を叩き出し続けているのが、でんかのヤマグチなのです。
まず、衝撃的なのが、でんかのヤマグチで販売されている電化製品は、基本的には、大型の家電量販店よりも遥かに高い値段で販売しています。
例えば、薄型のテレビなどは、大型の家電量販店の約2倍の価格で販売されているのですが、このテレビがどんどん売れていくのです。
でんかのヤマグチは、1966年に創業されました
創業から30年間は1、パナソニックの販売代理店で、どことも変わらないような普通の街の小さな電器店でした。
ですが、でんかのヤマグチがある、町田市にも、1996年に初めて、コジマとヤマダ電機という大型家電量販店が進出してきて、その後、駅前にはビックカメラもできて、最多で、6つの大型家電量販店に囲まれることになります。
このままでは価格競争に巻き込まれ、近いうちに淘汰されてしまう…
という危機感を抱いた、代表の山口勉さんは、生き残るための常套手段であった「安売り」という選択肢を捨てて、「高売り」という道を選ぶことに決めます。
画像出典:https://business.nikkei.com/
大型の家電量販店の最大の特徴は「安売り」です。
この軸では、でんかのヤマグチは勝つことはできません
では、どこの部分であれば、勝つことができるのかというと、徹底した顧客サービスです。
通常、大型家電量販店で、テレビを購入しても、基本的には、商品が配送されて終わりです。
ですが、でんかのヤマグチでは、商品を自宅まで届けるだけでなく、配線まで繋げて、すぐにテレビを見れる状態までにしてくれます。
ここまでならサービスが良いところなら無料でしてくれるところもあるかもしれませんが、大型の家電量販店なら基本的には有料です。
そして、でんかのヤマグチでは、配線をするだけでなく、もし、購入者の方が、年配の方で、テレビの予約の操作方法がわからない場合は、そのサポートまでしてくれます。・
例えば、これは実際にあった話ですが、韓流ドラマを楽しみにしている、年配の方がいれば、毎週、予約しに営業担当者が、その家まで足を運ぶのです
でんかのヤマグチの顧客サービスはそれだけではありません。
電球1個の交換も電話一本ですぐに駆けつけてくれます。
お客様が急用ができて、配送予約していた荷物が受け取れない時は、代わりに留守番だって引き受けます。
家の植木に水をあげて欲しいという要望にも応えます。
これらのサービスは全て無料です。
でんかのヤマグチは「安売り」ではなく「高売り」でいくと決めた時に、顧客とするターゲットを絞り込みました。
具体的には、家電製品を買うのに、ネットを駆使したり、店舗を梯子したりして、1円でも安く買おうとする、若い世代は、ターゲット層から外しました。
値段よりもサービスの質を求める高齢者に絞ったのです。
高齢者が、若者のように、様々な情報を集めて、エネルギッシュに、比較検討するというよりも、馴染みの店で買う傾向にあります。
そういう人は、同じ家電製品を買うにしても、配線だけでなく、操作方法まで親身になって手厚くサポートしてくれる店を選びます。
でんかのヤマグチはそういうターゲット層に絞り、彼らと、御用聞きによって、長期的に良好な関係を築くことで、生き残りを図ったのです。
でんかのヤマグチの従業員数は40名なので、もちろん訪問でサポートできる範囲には限界があります
なので、ターゲットは、町田市在住に絞りました。
それ以外の地域から購入される人には、訪問サービスの提供はできないため、
お近くのパナソニックのお店で買った方が良い
と勧めるそうです。
この御用聞きは、でんかのヤマグチで答えられることがあれば、なんでも答えます。
例えば、2011年、東日本大震災が起こった時、町田市では、水道で放射性物質が検出されたという騒ぎが起こり、スーパーやコンビニでペットボトルが買い占められるという事態が起きました。
そんな時に、どうすればいいのか、困ったお客さんは、まずでんかのヤマグチに電話をするわけです。
そして、従業員は、水を代わりに購入して、お客様の自宅まで届けます。
ここまでやってくれるので、お客さんは
何か困ったら、でんかのヤマグチに頼ろう
となるわけです。
これだけ信頼関係が築けていれば、多少、商品単価が高かろうが、「でんかのヤマグチで買おう」となるわけです。
例えば、その象徴的な事例が1999年に始まったリフォーム事業です。
でんかのヤマグチは電器屋さんなので、元々リフォーム事業はやっていなかったのですが、お客さんの御用聞きをしている時に、「最近、お風呂の調子が悪くて」とか「だいぶ家が、古くなってきてるから、いいリフォーム業者を知らないかしら」と相談されるようになったそうです。
そこで、地元の工務店とタッグを組み、リフォーム事業を始めたところ、既存のお客さんが、
でんかのヤマグチがリフォームを始めるなら、間違いない
ということで、多くの人がリフォームをお願いするようになり、今や事業収益の3割がリフォーム事業経由らしいです。
リフォーム業者は他に世の中にたくさんあると思いますが、そういう競合他社とは比較検討せずに、ストレートにでんかのヤマグチを選ぶのです。
顧客との関係性強化というのは、極めていけば、それだけ大きな参入障壁になるということです。
他にも衝撃的なエピソードがあって、2011年の7月に地上デジタル放送への移行が完全に進んだタイミングで、これまで家電量販店の売上の支柱であったテレビの需要というのがパタリと止まりました。
ヤマグチでも売れなくなり、それならば代わりに、エアコンも仕入れたのですが、これも天候不順の影響でほとんど売れずに、エアコンが48台余ったということがあったそうです。
そんな時に、既存のお客様に
いつもいつもヤマグチを利用していただき、誠にありがとうございます。今年の夏は、暑かったり涼しかったり、とても複雑な夏でした。8月までに、売り切れるようにエアコンの仕入れをしたのですが、48台ほど残ってしまいました。9月はヤマグチの上期決算です。残ったエアコンを処分したいので、当店価格より、パナソニックXタイプ3機種に限り5万円引きとさせていただきました。もしよろしかったら、この機会にぜひご購入をお考えいただきたくご案内申し上げます。(『なぜこの店では、テレビが2倍の値段でも売れるのか』山口勉)
というDMを1通送っただけで、なんと80台もエアコンが売れたのです。
数十万円するエアコンが、たった1通のDMで、これだけの台数がはけるなんてことはありえないですよ。
大型家電量販店でも不可能です。
これは既存顧客との関係性が良好だからこそ、できた結果です。
山口さんは著書『なぜこの店では、テレビが2倍の値段でも売れるのか?』で
売ってからが商売の始まり
と言います。
これこそがCRMの本質です。
旧態依然とした商売は、基本的には、商品を売ったら終わりです。
でも、それだと、ブランドと顧客との関係性は、それ以上深まることはなく、たとえ一度商品を購入したとしても、「このブランドが明日なくなったら困る」というような特別な存在にはなれません。
例えば、ヤマグチでは、定期的に、パナソニックのIHクッキングヒーターを使った料理教室を開催しています。
画像出典:https://tg-uchi.jp/
この料理教室の参加者は、ヤマグチで、IHクッキングヒーターを購入した主婦の方ばかりです。
この料理教室は、IHクッキングヒーターを購入してもらうための、新規集客ようのイベントではないというところがポイントです。
ここで、かしわ飯や大根の中華スープ、ぎょうざなどいろいろなメニューを作り、IHクッキングヒーターの性能を120%使いこなせるようになってもらうことが目的です。
作った料理は持って帰れるので、多くの方が熱心に通います。
もちろん、ヤマグチは、この料理教室を開いたところで、一銭の得にもなりません。
ですが、この料理教室を体験した、顧客は
IHクッキングヒーターっていいよ
と友人・知人に勧めるようになり、これまがまヤマグチの新規顧客となるわけです
情報が溢れ、新規集客の難易度は年々上がっているわけですが、そんな中でも、口コミというのは、非常に強い集客ツールになります。
広告はどこも良いことばっかり言ってて、何を信用したらいいかわかりませんが、友人が「ヤマグチでIHクッキングヒーターを買えばこんないいことがあったのよ」という言葉は信用できるのです。
だからこそ、既存顧客との関係性を深めていく仕組みというのが、これからの時代ますます求められるようになるというわけです。
では、既存顧客との関係性を一体、どうやれば深めることができるのか?
このことについては、解説し出すと、とても長くなるので、次回以降の記事や、LINEの方で話していこうと思うので、興味がある方はぜひ登録してみてください。
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