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2018.9.12 (更新日:2021.7.28) | ブランディング戦略

近江商人の三方よしから学ぶ、繁栄する商売の原則

近江商人の三方よしから学ぶ、繁栄する商売の原則

どうも!ブランドクリエイターの中江です。

今回は「近江商人の三方よしから学ぶ、繁栄する商売の原則」というテーマでお話していきたいと思います。

近江商人というのは、鎌倉時代から江戸時代にかけて活躍した、滋賀県の近江出身の商人のことで、彼らの大きな特徴としては、「ただの一介の商人から、一代で巨万の富を築き、かつ人格者として讃えられている」というものです。

今の日本だったら、インターネットという環境も整っているし、何もない個人がビジネスに挑戦して、サラリーマン時代の給料を何倍以上も稼いで、上手くいくなんてことは、よくある話ですが、この時代は江戸時代です。

この近江商人は、どんなビジネスモデルからスタートしたのかというと、肩に天秤を使って、自分が住んでいる近江の特産品を担いで、他の地域に行って売りさばいていました。

天秤棒を担ぐ近江商人
画像出典:https://ja.wikipedia.org/

いわゆる「行商」ってやつですね。

そして、そこで上がった利益で、その行く先々の地域の商品を買い込み、地元に帰って再び売りさばくという形でビジネスを大きくしていきました。

そして、利益を大きく稼いだら、行く先々の地域で作り上げたコネクションを使いながら、各地に店舗を出店します。

そして、ネットワークを形成し、各店で各地の商品をやりとりしながら、地域による価格差などを上手く駆使して、さらにビジネスを拡大していきました。

まぁ、悪く言えば「成金」な訳ですが、現代の「成金」とは違って、世間では人格者として高く評価されていたのも大きなポイントです。

近江商人は時代を超えて、自分のビジネスを繁栄させてきました。

近江商人が創業した企業は、

  • 大丸
  • 高島屋
  • 白木屋
  • 西川産業(ふとん)
  • 伊藤忠商事
  • ワーコール

など、100年企業が多いです。

繁盛は一時的ですが、繁栄は「時代を超えて」栄えるという意味があります。

ビジネスをやるんだったら、今だけ利益が上がって、繁盛するだけでは長続きしませんし、やるんだったら、誰もが繁栄を目指したいはずです。

その自分のビジネスを「繁栄」させるヒントが、近江商人に詰まっているんです。

そこで、今回は、近江商人のコアとなる考え方である「三方よし」を紹介しながら、自分のビジネスを繁栄させるために必要なものは何かということをお話していきたいと思います。

では、早速、始めていきましょう!

1.近江商人から学ぶ2種類の企業タイプ

世の中には2種類のビジネスがあると思います。

  • 繁栄していくビジネス
  • 衰退に向かうビジネス

残念ながら、多くの場合は後者のビジネスになってしまいます。

これは前にも紹介しましたが、起業後、1年で約60%の会社は潰れ、5年後になると、それが85%まで伸び、生き残れるのはたったの15%。10年後には94%の会社が潰れると言われています。

10年後に残る企業はたった6%なんですから、この事実を知らない人には結構、衝撃的な数字だと思います。

と暗い話を言いつつ、日本は圧倒的に世界ダントツ第一位の長寿企業国というのは知っていましたか?

日本で創業100年を超える、いわゆる「百年企業」の数は約2万6千社あり、第2位のドイツですら数千社なんですから、その凄さがわかると思います。

そう、日本にはなぜか、時代を超えて繁栄している企業がたくさんあるんです。

この繁栄の秘訣が近江商人にあります。

その近江商人の話をする前に、まずは、衰退に向かうビジネスの特徴について話しておきたいと思います。

1-1.アングロサクソン型の資本主義とライン型の資本主義

なぜ、日本やドイツには長寿企業が圧倒的に多くて、一方で、アメリカやイギリスを中心とした欧米諸国では長寿企業が少ないのかを研究した人がいます。

フランスの経済学者ミシェル=アルベールです。

彼は『資本主義対資本主義』という著書の中で、「アングロサクソン型の資本主義」と「ライン型の資本主義」の存在を指摘しています。

ざっくりと概要だけを引用して、ご紹介します。

アングロサクソン型の資本主義とは、アメリカや英国を中心とした欧米諸国に見られる経営スタイルで、簡単に言えば、株主の利益を最優先し、もし業績が悪化してしまえば、株主の価値を守る必要が出てくるので、積極的に人員削減を行うというものです。賃金制度としては、成果主義で、自己責任という価値観を重要視します。

一方で、ライン型の資本主義とは、ドイツや日本に見られる経営スタイルで、簡単に言えば、株主だけでなく、従業員、お客様、取引先、社会などの関係性を重要視します。賃金制度としては、年功序列と終身雇用を重要視します。

時代を超えて繁栄せずに、衰退に向かう企業とは、このアングロサクソン型の資本主義を採用している企業に多く見られます。

アングロサクソン型のビジネスの最大の目的が利益追求なので、それにそぐわないことは「合理的」に判断して、やらないですし、自分が儲かりそうと思えばやる、それだけの話です。

例えば、

どれだけお客さんの健康を損なおうが、法律的に最低ラインはクリアして、儲かるんだったら、食品添加物を大量に入れて弁当を作って、売ってしまえ

というのはアングロサクソン型の発想です。

一方でライン型はかなり異なっています。

その時々の「経済合理性」(今儲かるかどうか)だけの判断基準で、物事を判断していません。

1-2.近江商人・伊藤忠兵衛の革新的な経営手腕

伊藤忠商事の創業者となった、近江商人の伊藤忠兵衛は、まさに自分のビジネスを時代を超えて、繁栄させましたが、彼が採用した経営の手腕は革新的でした。


画像出典:https://www.marubeni.com/

中でも「三分利益」という制度はそうですね。

この三分利益とは何かというと、簡単に言えば、店で上がった売り上げは「主人」「奉公人」「将来の不測のための備え」で、3分の1ずつしようという制度です。

これは江戸時代では珍しいことでした。

特に奉公人というのは商売の基礎を叩き込んでもらう代わりに、給料はスズメの涙程度しかもらえず、利益は主人や幹部が独占するものだったからです。

これはアングロサクソン型資本主義の視点から考えれば「あり得ない」制度です。

というのも、単純に経営者としての自分の儲けが減ってしまうからです。

でも、伊藤忠兵衛は、この三分利益を採用したことによって、大きな恩恵を受けることになります。

というのも、三分利益を採用したことによって、頑張れば頑張る分だけ、奉公人は自分の給料が増えると確信し、より熱心に業務に励むことができたからです。それによって、ビジネスの利益もさらに拡大していきました。

また、伊藤忠兵衛は「牛鍋の日」というのも月に何回か設けました。

牛鍋とは今でいうすき焼きのことで、これを奉公人に振る舞うという日です。

当時の奉公人が食べるご飯は、1日2食で、昼飯も夕飯も

  • ご飯
  • つけもの
  • 味噌汁

度のものだったそうで、非常に質素な食事しか与えてもらっていませんでした。

特に育ち盛りの若い人には、なかなか厳しいメニューです。

これはどこの商家でもそうでした。

伊藤忠兵衛はそれを見かねて、

より精をつけて頑張ってもらいたい

こんな大盤振る舞いをしました。

これもアングロサクソン型資本主義の視点から考えると「あり得ない」です。

牛鍋を振る舞ったからといって、それが直接利益を生むわけではないどころか、単純に赤字です。

また、忠兵衛は、時には芝居に連れて行ったり、相撲を見に連れて行ったりしながら、部下との関係性をより深めていきました。

このことによって、忠兵衛は奉公人(部下)から絶対的な信頼を確立し、非常に有能な人材を自分のところに抱えておくことに成功しました。

これもビジネスが拡大した一つの要因です。

1-3.大局的な視野を持てるかどうか

「利益」を最優先に考えるビジネスが衰退する一方で、「利益」を最優先にしないビジネスが繁栄していくのは、なんだか皮肉なものです。

僕の好きな漫画に人種の生存闘争を描いた『オメガトライブ』という漫画があるのですが、その中に中国の大富豪の劉智健(リュウ チーチェン)という人物が出てきて、こんなことを言っています。

「ビジネスの成否を分けるのは、長期の視野をどれだけ持てるかだ」

僕はまさにそうだと思うし、結局、アングロサクソン型とライン型の資本主義の明暗が別れたのは、ここなんじゃないかなと思うわけです。

結局「直近の利益」にばかり目が行くと、ああいう「利益三分」とか「牛鍋の日」というような発想にはならないわけですよ。

だって「経済合理的に」判断すれば、いつリターンが来るのかわからないんだから。

伊藤忠兵衛を始めとする近江商人は、恐らく、もっと長く、広い視野を持って、自分のビジネスを俯瞰していたはずです。

じゃないと、時代を超えて残っていく企業の礎は築けません。

利益三分は、確かに今の自分の儲けは多少減ることにはなるが、ビジネスの土台はやはり奉公人である。店の売上は奉公人にかかっているから。だからこそ、彼らがより目一杯、働いてくれる環境を整えるのが将来の盤石な土台になる

という風に。

ここまで、計算していたかどうかはわかりません。

人としてシンプルに「頑張ってるからこそ、それに報いたい」と思ったのかもしれません。

いずれにせよ、こんな発想は、アングロサクソン型の資本主義から生まれてきません。

2.近江商人と三方よし

近江商人は、自分のビジネスを時代を超えて「繁栄」に導いてきました。

次にこの近江商人とは、どんな商人か、そして彼らが築き上げてきた「繁栄」を支える思想とは、どんなものだったのか、について見ていきたいと思います。

2-1.近江商人とは

まず、近江商人の概要を簡単に紹介していきたいと思います。

近江商人とは、鎌倉時代から江戸時代にかけて活躍した商人のことで、彼らの大きな特徴は、一介の商人から身を立て、一代で巨万の富を築くということを成し遂げたスーパー商人です。

彼らがどのようにして自分のビジネスを拡大させていったのかというと、まず、彼らはこういう風な天秤棒を担いで、自分の地元の商品を他の地域へ行って、売りさばくという行商ビジネスモデルを行っていました。

現代で言うところのセールスマンですね。

天秤棒を担ぐ近江商人
画像出典:https://ja.wikipedia.org/

そして、その地域で商品を売りさばいて得た利益を使って、今度はその地域の特産品を買って、地元に戻り、それを売りさばくという一石二鳥のことをしていました。

そして、ある程度事業が軌道に乗り、儲かりだすと、行商に行って、各地で築き上げたコネクションを使いながら、各地にお店(=販売代理店)を出して、人を雇い、さらにビジネスを拡大させていきます。

この時点で、一介のセールスマンではなく、オーナー(主人)になるわけですね。

そして、さらに事業で利益を上げて、各地で出店していくと、全国に自分のお店のネットワークができるようになります。

大阪、京都、東京、北海道、奈良、熊本…といった具合に。

もちろん、それぞれの地域によって特産品や、販売しているものの価格、ニーズなんかも違ってくるわけなので、全国に情報網を作ってしまえば、地域間による価格差などを利用して、更に儲けを拡大していくことができます。

また、近江商人は、単独で活動していたわけではなく、「講」という近江商人同士のコミュニティーを作って、各地で、同族同士の無用な競争を起こさないようにも調整していました。

こんな風にして近江商人は、ビジネスを拡大させていきました。

2-2.三方よしの意味とは

で、重要なのは、近江商人のビジネスモデルではなくて、彼らのマインドセット(考え方)です。

同じビジネスモデルを採用しても、近江商人のように上手くいく人と、上手くいかない人がいます。

その差は、考え方の差であり、考え方が違えば、行動が違い、行動が違えば、結果が変わってくるというわけです。

では、彼らのビジネスに対する考え方というものは、どういうものだったのか?

彼らのビジネスに対する重要な考え方として挙げられるのが「三方よし」というものです。

三方よしとは

売り手よし、買い手よし、世間よし

というのがビジネスの基本であるという考え方のことです。

つまり、何か商品・サービスを売る人(売り手)も、それに対してお金を支払って買う人(買い手)も、両方が幸せになるようなビジネスをするべきであり、そして、そのことによって、社会がより良くなる方向に導かれるのが、ビジネスの基本だというわけです。

 アングロサクソン型の資本主義の発想ではあり得ないわけです。

今、自分がこれをすると儲かるから、買い手がどうなろうが構わないし、ましてや世間がどうなろうが知りやしない

となるわけです。

完全に「売り手よし」だけですね。

シンプルですが、売り手も満足して、買い手も満足してくれたら、まずビジネスは長期的に見ても、上手くいくわけですよ。

だって、買い手が満足してくれたら、リピートもしてくれるだろうし、定期的に何か商品・サービスを購入してくれるはずだからです。

そして、買い手からの紹介も生まれて、またそれが循環して、評判を呼び、新規顧客にも困らないだろうし、上手くいかない要素がないわけですよ。

これって当たり前の話ですが、意外とできている人・会社・店は少ないと思います。

例えば、僕はホームページ制作を販売していて、この業界のことをよく観察していますが、この業界は、ほとんど「売り手よし」の業界です。

例えば、ホームページを作るという買い手の目的は、自分のビジネスの集客だったり、売上アップに繋げるためというところが多いと思います。

ですが、ほとんどの制作会社は、マーケティング(SEO対策など)のこともわからないので、そんな顧客のことは無視して、綺麗なデザインを納品して、

はい、制作費50万円と、来月から2万円ずつサポート費でくださいね

で終わりです。

そして、契約を更新しなければ、

せっかく作ったホームページが消えちゃうことになりますよ〜いいんですか〜??

と脅しをかけて、契約更新を迫り、甘い汁をすするわけです。

で、そういうところは、ほぼ数年も経たずに潰れてます。

当たり前っちゃ当たり前ですよね。

そして、そのビジネスが社会をより良い方向に導いていくものであれば、更に世間の評判も呼ぶことになるでしょうし、そのビジネスに共感して、多くの人を巻き込めると思います。

もし、こんな「三方よし」を守り続けることができる、企業や個人やお店が存在したら、そりゃあ潰れないですよ。

彼らの大きな特徴は、誠実だということです。これほど人から信用を得ることができる要素はないでしょう。

2-3.近江商人の商売の十訓

商売の十教訓というのが、近江商人にはあります。

これは近江商人のまさにビジネスに対するスタンスを表すものであるので、ご紹介したいと思います。

この現代語訳は『「商い」で成功した江戸商人、「ビジネス」で苦しむ現代人』(植西 聦) という書籍からの引用です。

商売とは世のため、人のために奉仕することである。世のため、人のために勤勉に働いていけば、利益はきちんと後からついていくものである

店の大小は問題ではない。商売をする場所が良い悪い、という問題でもない。いい商品を、お客さんのために提供できれば、おのずから商売は繁盛するのだから。

「お世辞を言って商品を売りさばいてしまえば、それでいい、その後のことは知らない」というのでは商売は繁盛しない。売った後に、いかに面倒を見るかが大切である。面倒見のいい商人には、常連客が集まるものである。

資金の少ないことを嘆くことはない。むしろお客さんへの信用の足りないことを嘆くべきである。信用のない商人は、絶対に繁盛することはない。とにかく信用を得ることにまず励むべきである。

商品を無理やりに売りつけることは決してしてはいけない。お客さんの「好むもの」を売るのも、本当の商人ではない。本当の商人とはお客さんの「ためになるもの」を売るものである。

いい商品を売ることは善の行いと言える。いい商品を多くの人たちに買ってもらうために努力を重ねることは、それだけで世の中のためになることであるから、やはりよい行いと言える。

紙一枚のサービスであっても、お客さんは喜んでくれるものである。商品を買ってくれたお客さんには、何でもいいので、サービス品を提供してあげるべきである。何もつけてあげられないならば、あなたの「笑顔」を分け与えてあげなさい。

「正直な値段」で、一生懸命「正直な商売」をするのが商売繁盛のコツである。不当な利益をとろうとすれば、お客さんは離れていくものである。しかし、一方で無理な値引きをすれば、自らの商売が成り立たなくなることも忘れてはならない。

つねに損益のことを考えながら商売をするのが本当の商人である。いい加減な、どんぶり勘定をしていては、末長く繁盛していくことはできない。今日一日どれだけの損益が出たか、しっかり計算して明らかにしないうちは、夜寝てはいけない。

「今は景気が悪いから、物が売れない」というのは言い訳にすぎない。景気が悪い時であっても、繁盛する商人は色々な努力や工夫をして、儲けを出していくものである

ここから読み解けるのが、いかに近江商人が、人の「信用」ということに重きを置き、「誠実」なビジネスを心がけてきたのかということです。

僕は「誠実さ」というのは、ビジネスをする上で非常に重要な要素だなと思うわけですよ。

誠実じゃない奴は、短期的に、人に信用されることはあっても、長期的に信頼されることにはなり得ないわけです。

信頼が得られないんだったら、そのビジネスは衰退の一途を辿るでしょう。

3.近江商人と石田梅岩の商人道

最後に、近江商人ではないですが、現代でも多くの経営者から注目を集める、この江戸時代の重要な思想家である、石田梅岩の教えを紹介しておきたいと思います。

石田梅岩は、元々、京都の農民の次男坊で、後継は長男がするので、京都の11歳で呉服屋に丁稚奉公に行き、45歳まで商売を続けた人です。

石田梅岩は商売をする傍ら、仏教者であり、思想家の小栗了雲という人物を師と仰ぎ、朱子学をはじめとした儒教、進陶、そして仏教などを研究していました。

そして、45歳になった時に商人の生活からは引退して「商人がどのような生き方をすればいいのか」ということを教える私塾を開くようになります。

彼が教える講義は、実体験を通したものであり、非常に評判を呼び、多くの人が彼の元に学びに来たそうです。

彼の思想は石門心学と呼ばれ、現代にも語り継がれ、繁栄するビジネスを築き上げていく上で非常に重要なことをしていきしているので、ご紹介していきます。

3-1.石田梅岩の思想

彼は、商売(ビジネス)の目的について、非常に重要なことを言っています。

「商売(ビジネス)の目的とは何か?」と聞いて、どんな風に答えますか?

恐らく、アングロサクソン型の資本主義的な考え方をするならば、「金を儲けること」だという風になるのだと思います。

石田梅岩は、学問を引き合いに出して、このように答えています。

学問の目的とは、心を尽くして、己自身の人間性を高めることにある。商売もまた、その目的の一つは、己自身の人間性を高めることにある。

僕はこれは重要な考え方だなと思うわけですよ。ビジネスの目的を自分自身の人間性を高めることに置けと。

ビジネスの土台は、経営者なわけですから、その経営者が人間的にしょーもないままだったら、そりゃあ、ビジネスなんて立ちいかなくなるわけですよ。

そして、梅岩はこう続けます。

「商人が目先の利益にとらわれずに、また自分だけが儲かればいいという考え方を捨てて、お客さんの利益のために一生懸命になって商売に邁進した果てには、その商人の人間性は高まり、大きな徳が備わっていく、そして結果的に、徳のある商人は、お客さんから信用、信頼を得て、ますます商売が繁盛していくだろう」(『「商い」で成功した江戸商人、「ビジネス」で苦しむ現代人』(植西 聦))

ここに近江商人の考え方のエッセンスが、盛り沢山に詰まっています。

目の前の相手に対して、誠実に、一生懸命に、本当にその人のためになるものを提供していけば、勝手に利益は後から付いてくるし、そして、そういう考え方で行動していけば、勝手に人間性は高まっていく。

人間性が高まれば、徳が備わり、徳が備われば、お客さんの信用・信頼を得て、ますます商売が繁栄していくと。

ここに存在するのは「善循環」の思想です。

つまり、ビジネスというのは「奪おう」(儲けよう)とすることから始まるのではなく、「与える」ことから始まるということです。

まず、自らが目の前の相手に対して、与えることが、巡り巡って、自分に返ってくるという思想です。

3-2.真の商人とは

石田梅岩は、真の商人をこのように定義しています。

実の商人は、先も立ち、我も立つことを思うなり

「実の商人」というのは、真の商人という意味です。

「先も立ち」というのは、まず最初に、お客さんのことを第一に考え、行動することで、お客さんの信用、信頼を得られ、その結果として、「我も立つ」、つまり、自分のビジネスが上手く回るという状態を作ることができる人こそが、真の商人なんだという意味です。

ビジネスをするんだったら、真の商人を目指していきたいですね。

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4.近江商人のまとめ

では、最後に今日のまとめをしておきたいと思います。

近江商人は、一代で巨万の富と名声を築き、時代を超えて繁栄させるビジネスを現代に残してきた訳ですが、その繁栄の秘訣というのは、「三方よし」という思想にありました。

三方よしとは「売り手よし、買い手よし、世間よし」という思想です。

つまり、商品・サービスを提供する売り手も、それを買う買い手もお互いが幸せとなり、それによって、社会がより良くなることがビジネスの基本だという訳です。

この思想から滲み出てくるのはビジネスに対する「誠実さ」です。それは先ほど紹介した、近江商人の商売の十教訓にも現れています。

彼らは何よりも「信用」と「信頼」について重きを置きました。というのもこれさえあれば、長期間に渡って、ビジネスが上手くいくからです。

石田梅岩はビジネスの目的は「己の人間性を高める」ことだと言いましたが、これはまさに商売繁栄の方程式でもあります。

まず、自らが目の前の人(お客さん)に対して、誠実に一生懸命に与えることによって、信用を得られ、その結果として、利益が還元され、そのような取り組みをすることによって、人間性が高まり、徳が備われば、さらに信頼を得ることができて、多くの人の評判になり、商売が繁栄するという訳です。

ぜひ、真の商人を目指していきましょう!

では、今回は以上になります。お疲れ様でした^^

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