2019.5.14 更新 | ブランディング戦略

差別化戦略とは?具体的な成功事例から方法まで徹底解説

差別化戦略とは?具体的な成功事例から方法まで徹底解説

どうも!ブランドクリエイターの中江です。

「差別化戦略って何?」「具体的にどういう風にビジネスで差別化していけばいいの?」という人は意外と多いんじゃないでしょうか?

差別化できるかどうかで

  • 安定的に集客できるか
  • 価格競争に巻きこまれないか

など、ビジネスの成果は圧倒的に変わります。

差別化ができなければ、お客様から選ばれることもないので、ぜひ、今回の記事で、差別化戦略の正しい意味と、その実践方法について解説していきたいと思います。

では早速始めていきましょう!

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1.差別化戦略とは

まずは、差別化戦略とは何かについて解説していきたいと思います。

1-1.差別化戦略の意味

差別化戦略というのは一言でいうと「違いを生み出す戦略」のことです。

違いを生み出すのが、なぜ重要なのかというと、これがなければ、選ばれないからです。

例えば、ここに青と赤色の性能が同じの車があるとします。

2台の車

新しく車を購入するとして、どちらかの選択肢を提示されるとすると、これは選べると思います。

「色」という違いがあるからです。

でも、

  • デザイン
  • 性能

が同じのものが2つ選択肢として提示されれば、どうでしょうか?

赤色でデザインも同じ、性能も全て同じです。

恐らくこの場合は、選べないというか「どっちを選んでも良い」という状態になると思います。

当然、世の中に出回っている商品・サービスの中で、全く同じものというのはありません。

ですが、ポイントになるのは「同じように見えてしまっている」という時点で、選ばれなくなってしまうということです。

そして、今の時代は「同じように見えてしまっている」ということが起きやすいのです。

なぜなら、選択肢が過剰の時代だからです。

どんな業種・業界の商品・サービスであれ、選択肢が多いんですね。

例えば、何かネット上でTシャツを買うとなったとしても、検索をかければ、約7万点の中から選ぶ必要があります。

特に今の時代はインターネットがあるので、どんなものを選ぶにしても、これだけ多くの選択肢から選ばざるを得ない状況なんですね。

zozotown

それは飲食店でも、家電でも、美容院でも、アパレルショップでもなんでも同じです。

当然、これだけ膨大な選択肢があれば、全てを細かく比較検討して見ていくことはできません。

Tシャツを1枚選ぶのに7万点を細かく全て比較検討するなんて無理なのは想像できると思います。

だから、そういう時に、人は「一目で違いが分かるもの」しか目に止まりません。

一目で違いが分かるものは、値段が高くても選ばれます。

例えば、家電で言えば「Apple製品」なんかが分かりやすいと思います。

Apple製品

誰もが一目見るだけで、違いが分かり、値段も相場よりもはるかに高くても選ばれています。

そういう一目で分かる違いづくりをしていくのが「差別化戦略」です。

1-2.機能的価値による差別化戦略

では、次にどのようにすれば、差別化ができるのかが、についてお話していきます。

大きく分けると、差別化戦略というのは

  • 機能的価値による差別化
  • 感情的価値による差別化

の2つに分かれます。

機能的価値による差別化というのは、

  • 性能
  • 品質
  • 素材
  • 価格

などの「機能性」で違いを出すことによって差別化していく戦略のことです。

例えば、2010年に発売されて、ヒットした鍋に「バーミキュラ」という鍋があります。

ヴァーミキュラ
画像出典:http://hiroba-magazine.com/

バーミキュラは、一つ約3万円ほどする高級鋳物鍋なのですが、2010年から発売され、累計で30万個も売れています。

普通の鍋なら、数千円程度あれば、買えるものですが、多くの人が、バーミキュラを買い求めています。

一つは「機能面」にその理由があります。

バーミキュラを機能面から一言で表現するのであれば、

世界一、素材本来の味を引き出すことができ、栄養素も効果的に摂取できる鍋

です。

バーミキュラは、

  • 無水調理ができるステンレス製の鍋
  • 遠赤外線効果で食材を芯から温めることができる鋳物の鍋

という2種類の鍋の良いとこを掛け合わせて、開発されました。

バーミキュラを開発する前に当時、世界一の鍋と評価されていたのは「無水調理ができるステンレス製の鍋」でした。

鍋を使った料理をするときには水を入れて作るのが基本ですが、それだと素材本来の味が薄まってしまいます。

この密閉性が高いステンレス製の鍋を使えば、水を入れずに、食材に含まれる水分を引き出し、旨味成分を逃さずに、料理を作ることができます。

普通の鍋で料理を作れば、実際に栄養素なんかも水蒸気で逃げてしまいますが、そうしたことも防げるというわけですね。

これがステンレス製の鍋の良いところです。

ただ、素材の旨味を引き出すという点では「熱伝導」が重要で、その点は「ホーロー加工した鋳物の鍋」の方が優れています。

「ホーロー加工した鋳物の鍋」というのは、ガラス成分が入った鋳物を800度で加熱したものになります。

鋳物という素材を使えば、鍋に保温性が出ますが、そこにガラス成分を加えることによって、遠赤外線効果が発生し、食材の芯から熱が入るようにすることができるのです。

ただし、鋳物にも弱点があり、それが形が変わりやすく、密閉性を中々、保てないことです。

バーミキュラの鋳物の成分は13種類の金属が含まれているのですが、その中の100分の1パーセント配合が変わると、全く違う物になるほどです。

なので、かなり精密性が求められるので、ホーロー加工した鋳物の鍋で、無水調理ができるような鍋を作ることは、不可能とされていました。

それを実現したのがバーミキュラなんですね。

「無水調理可能な鋳物ホーロー鍋」という鍋は、世界で他に存在していません。

だからこそ、バーミキュラには人気が集まり、売れているんですね。

これが簡単にいうと、機能的価値です。

1-3.感情的価値による差別化

また、機能的価値以外にも「感情的価値」によって差別化することが可能です。

人は機能だけで商品・サービスを選ぶわけではありません。

  • コンセプト
  • ストーリー
  • キャラクター
  • デザイン

などの側面から、感情的に「良いな」と思ったものも選びます。

1.コンセプトによる差別化戦略

まず、コンセプトについて。

コンセプトというのは一言で言うならば、そのブランドの世界観のことです。

もっと具体的に言うと「どんな○○なのか?」という定義ですね。

例えば、バーミキュラの中の製品に「ライスポット」という炊飯器があります。

バーミキュラ
画像出典:https://www.sanwacompany.co.jp

炊飯器は世の中にいろんな種類があります。

基本的に今販売されている炊飯器であれば、どんなものであれ、ご飯を炊くことはできます。

だからこそ、重要になってくるのは「ライスポットは、どんな炊飯器なのか?」という定義ですね。

ライスポットのコンセプトは、

世界一、おいしいご飯が炊ける炊飯器を超えた炊飯鍋

です。

ライスポットは「バーミキュラで炊いたご飯は、どんな炊飯器よりおいしい」というお客さんの声から生まれた商品です。

高気密の鋳物のホーロー加工がお米本来の旨みを引き出すことを可能にしています。

コンセプトを明確に作っておくと、「どんな炊飯器なのか」を一瞬で認識させることが可能になるので、差別化が可能になるという訳ですね。

このコンセプトがないと一瞬で違いを認識させることができないので、このコンセプト作りというのは差別化において、必須となっています。

もちろん、このライスポットのコンセプトを好む人もいれば、好まない人もいると思います。

どんなご飯を美味しく、理想に感じるのかも人それぞれです。

だから、コンセプトは、感情的価値による差別化に繋がるという訳ですね。

2.ストーリーによる差別化戦略

続いては、ストーリによる差別化戦略ですね。

ストーリーは、人の共感を引き出すことができます。

例えば、バーミキュラで言うと、この鍋の開発秘話がそうですね。

バーミキュラは愛知ドビーという会社の手によって開発されました。

愛知ドビーの創業は1936年。

機織り機の動力源であるドビー機を社員70人で作っていました。

ただ、時代の流れとともに、繊維工業が下火になると、船舶や建設機械の下請けへと業務をシフトしていくことになります。

会社がそれほど不安定だったこともあって、兄の土方邦裕さんは、豊田通商に入社し、為替ディーラーに。

弟の土方智晴さんもトヨタに入社し、経理を担当していたそうです。

愛知ドビーは、バブル崩壊後に、更に経営状況が悪化します。

昔よく遊んでくれていた社員の人たちがどんどん辞めていくのを見かねた、兄の邦裕さんと弟の智晴さんは、愛知ドビーを立て直すために入社しました。

蓋を開けてみると、年間の売上が1億円に対して、負債が4億円以上と、債務超過が起きていました。

二人は、技術を覚えることから始め、全ての機械操作を覚え、がむしゃらに下請け仕事をこなし、業績を改善させました。

しかし、海外工場との競争が激化し、これまでのクライアントからは

中国では3分の1の価格だから3分の1にしてよ

とよく言われたそうです。

このまま下請けの工場では未来がないと思った弟の智晴さんは、2007年に「フランス製の鋳物鍋を使った料理本」に書店で出会います。

その本には「鋳物のホーロー鍋を使えば、料理が劇的に美味しくなる」と書かれていました。

鋳物の鍋だったら、うちの工場でも簡単に作れるな

と思い、まずは、その書籍で書かれていた鋳物のホーロー鍋を取り寄せて、実際に野菜を使ったスープを作ってみました。
そうしたら、劇的に美味しい野菜スープができ、「鍋によって料理の味が変わる」ということを初めて知りました。

これまではただの下請けの工場でしたが、メーカーとして自分たちでオリジナルの鍋が作られれば、自分たちで市場開拓も値段も決めることができ、この苦境を脱することができるかもしれません。

早速、オリジナルの鋳物のホーロー鍋を作ろうと決意します。

鋳物なら三ヶ月あればできると踏んでいましたが、ホーロー加工がなかなかうまくいかず、日によっては全ての鍋が全滅するほど苦戦しました。

フランスでも3社しか実現していないほどの技術です。

鋳物の成分比率を少しずつ変えながら、試行錯誤を繰り返し、1年経過した時にやっと、鋳物のホーロー加工に目処がつきました。

ですが、これだと、従来のフランス製の鋳物のホーロー鍋となんら変わりがありません。

そして、鍋について調べてみると、その当時世界一の鍋とされているのが、ステンレス製の無水調理ができる密閉製の鍋だということがわかりました。

密閉性が高い鍋を作ることができれば、素材そのものの水分を引き出し、旨味を逃さずに調理することができます。

ただ、鋳物の鍋を密閉製が高いものにするのは非常に難しい技術でした。

鋳物は熱を加えると、すぐ形が変わってしまって、中々、精度が安定しません。

だから、鋳物の鍋というのは普通、密閉性が悪いまま、製品化するのが普通です。

ちょうどその時期辺りに、リーマンショックが起こり、下請けの工場としての注文は激減し、週3日稼働になります。

工場自体も苦境を迎えるなか、失敗作を1万個繰り返し、気づけば、3年が経っていました。

そして、ようやく、密閉性が高い、鋳物のホーロー鍋を作ることができました。

常識を覆し、ようやく、バーミキュラが完成したのです。

初めて作ったのは、兄の邦裕さんが大嫌いな人参がたっぷり入ったカレーです。

完成した鍋で作ったカレーも人参も「美味しい」と言って、食べたそうです。

これがバーミキュラが誕生するまでの開発ストーリーです。

このストーリーを聞けば、「これだけの背景があって、ようやく完成したのか」と価値を実感できると思います。

こういうストーリーをうまく使うことで、差別化していくことができるんですね。

3.キャラクターによる差別化戦略

では、続いてはキャラクターによる差別化戦略について。

これは簡単に言えば「誰が」という部分で差別化するということですね。

例えば、機能的価値や値段が同じの鍋でも

どんな思いで鍋を作っているのか

を表現できるだけでも、全然違います。

土方兄弟が、小学生の頃、

うちの機械ってどうなの?

と、職人さんに聞くと、みんなが「世界一だよ」と笑顔で言っていたそうです。

ですが、気がつけば、時代とともに事業は衰退し、職人の数も大幅に減り、笑顔も消えていました。

そんな職人さんの笑顔を取り戻すために、家業を引き継いだことを決意したのです。

こんな話を聞くだけでも、土方兄弟の人柄に惹かれてしまう、部分はあると思います。

また、

バーミキュラという鍋を買ってもらうことがうちの最終ゴールではない。バーミキュラを使って料理を楽しんでもらうことが最終ゴール

ということも話しています。

面白いのが、バーミキュラには専用のコールセンターがあり、そこに専属のシェフまでついているということです。

例えば、そのコールセンターには、「生後5~6ヶ月の子どもの離乳食をバーミキュラを使って作りたいんですが、どんなレシピが考えられますか?」という質問にも対応してくれます。

レシピの質問がくれば、専属のシェフが、実際にバーミキュラで調理し、味を確認し、お客さんに回答するんですよね。

ここまで徹底的にサポートする会社は少ないと思います。

それだけバーミキュラに対する熱意と製造責任を持って、やっているということです。

どうせ買うんだったら、そういう人から商品を購入したくなりますよね。

関わる人を表現し、実際に関わり、信頼関係を積み重ね、関係性を強化していくことによって差別化していくイメージですね。

これが簡単にいうと、キャラクターによる差別化戦略です。

4.デザインによる差別化戦略

そして、最後に「デザイン」による差別化について。

デザインの役割は、そのブランドの世界観をヴィジュアルで一瞬で認知させることです。

人間は情報の87%を視覚から受け取るという研究結果があります。

つまり、デザイン性が高いと、視覚的に一瞬で価値の違いを認知させることができるので、それだけ差別化に繋がるというわけです。

先ほど紹介した「ライスポット」という炊飯器もそうですよね。

バーミキュラ
画像出典:https://www.sanwacompany.co.jp

鍋と炊飯器が融合したようなスタイリッシュなデザインで、あまり、市販の炊飯器でこういうデザインのものって見かけないと思います。

Apple製品やダイソンの製品などもそうですが、このデザインが良いからという理由だけで選ぶという人も多いです。

デザインは

  • Webサイト
  • ロゴ
  • チラシ
  • パンフレット
  • 名刺
  • ポストカード
  • パッケージ
  • プロダクト
  • 空間
  • 映像

など、お客さんが触れるタッチポイント全てに存在します。

このタッチポイントをブランドの世界観に基づき、表現していくことこそが差別化に繋がっていきます。

2.差別化戦略の成功事例

では、続いては、実際に差別化戦略を実行して成功している事例を紹介していきたいと思います。

2-1.サザコーヒーの差別化戦略

まず、紹介するのが、サザコーヒーという茨城県にある喫茶店です。

サザコーヒーの創業は1969年で、もう50年以上続いている喫茶店になります。

サザコーヒー

まず、カフェや喫茶店といった飲食店という業態で、10年続けられるのが1割以下と言われる中で、これだけ長く続けられるのは、本当に凄いことです。

また、近年はスターバックスやドトールコーヒーや上島珈琲店などの大手が地元にできれば、大抵、お客さんはそっちに流れてしまい、個人経営の喫茶店というのは経営が立ち行かなくなります。

そんな大手を押しのけて、地元で圧倒的な支持を誇っているのがサザコーヒーなのです。

店内が満席になるだけではなく、あまりにも地元の人に愛されており、茨城県内の800店舗の飲食店で卸されています。

今では、茨城と東京で13店舗もあり、年商も13億円まで伸ばしています。

サザコーヒーに来店するお客さんは

サザコーヒーは香りや味がダントツに違う

と口を揃えていいます。

サザコーヒーが目指している究極のコーヒーは「ジャパンコーヒー」です。

創業者の鈴木誉志男さんはこう語っています。

日本には世界一、良質の水が存在します。国土の7割が山林で、太平洋や日本海に発達した雲が日本全土に雨となって降り注ぎ、1年間に平均1700ミリ以上の雨量となります。これは世界で10番前後のランクです。その雨は地表を浸し、川となり、太平洋や日本海に流れます。この水(蒸留水)を使って料理するのが日本の食文化の特徴で、ご飯も味噌汁もそうですが、水分を使った食事が多く、良質の水があるから出汁の食文化となり、「UMAMI」が世界用語として定着しました。そこでカフェのコーヒーも、日本の良水から考える必要があります。フレンチコーヒー、イタリアンコーヒー、アメリカンコーヒーという言葉があるように、当社はジャパンコーヒーとして極めたいのです(『「サザコーヒー」に学ぶ、20年続く人気カフェづくりの本』高井尚之)

サザコーヒーの味や香りがダントツに違うのは、この究極のジャパンコーヒーを実現するために、

  • ケニア、エチオピア、インドネシア、フィリピン、ブラジル、グアテマラの世界中の良質なコーヒー豆だけを厳選して、直取
  • コロンビアには自社農園を所有しており、そこで育てたコーヒー豆が品評会で優勝
  • 「ジャパンバリスタチャンピオンシップ」という全国大会のトップ5中3人が、サザコーヒーのスタッフ
  • 年商の2倍するような自家焙煎機を購入
  • 水は、地下水から汲み上げ、NASAでも採用されてる逆浸透膜浄水器でろ過して、不純物を取り除いたものを使用

など、ありとあらゆる機能的価値の追求をしているからです。

2-2.今治タオルによる差別化戦略

二つ目に紹介するのは今治タオルです。

今治タオルは、日本を代表するアートディレクターの佐藤可士和さんがブランディングを手がけたことで、有名になった国内のタオルブランドです。

差別化がうまくいっていることによって、相場の何倍もする値段のタオルでも飛ぶように売れています。

ふわりはなセット
画像出典:https://www.imabaritowel.jp/

今治タオルは、元々

  • タオルの名産地
  • 吸水性が凄い
  • 品質基準が厳格

という3つの強みがありましたが、その価値を伝えることに苦戦していました。

タオルの基本的な機能的価値は「水分を拭き取ること」です。

ですが、「水分を拭き取れる」タオルなんてものは、世の中にあふれています。

だからこそ、機能的価値以外の部分で差別化していく必要があります。

グローバル化の影響もあって、海外製の安いタオルというのが、バブル崩壊後、日本に大量に入ってきたこともあり、今治タオルを含めた国内のタオルブランドは瀕死の状態に陥っていました。

価値はあるのに、伝わっていない。

佐藤さんは、この今治タオルの現状をデザインの力で大きく変えました。

結果として出来上がったのは、今治タオルの品質を浮き彫りにするような、シンプルなデザインでした。

それは商品パッケージだけではなく、店舗もWebサイトなどの全てのタッチポイントで、そう表現されています。

今治タオルの南青山店

映像なんかそうですよね。

これを見るだけでも今治タオルの価値というのが一瞬で伝わります。

2-3.SOUSOUによる差別化戦略

では、続いては、アパレルブランドのSOUSOUによる差別化戦略です。

SOUSOUは、オリジナルのテキスタイルを使用した、和服や地下足袋や小物や家具等を製作、販売しています。

SOUSOUの着衣
画像出典:http://www.sousou.co.jp/

SOUSOU地下足袋
画像出典:https://shop-pro.jp/

SOUSOUの差別化戦略で特徴的なのは、

新しい日本文化の創造

というコンセプトです。

明治維新以降、日本にはありとあらゆる西洋文化が入ってきました。

それとともに、生活は便利に、大きく変わりましたが、その反面、日本の伝統的な文化は失われました。

例えば、和装という面でいうと、地下足袋は靴に、和服は洋服に取って代わられました。

なぜ、取って代わられたのか?

それは時代の変化とともに、和装文化が進化しなかったからです。

例えば、車という西洋文化が輸入されたのなら、車にも乗れる履物を生み出すとか、そういうことをしてこなかったということです。

和装文化が今の時代にフィットするように変化しなかったからこそ、それに伴う日本の伝統的な産業も廃れていきました。

SOUSOUが、目指すのはこの和装文化の「空白の100年」を埋めることです。

つまり、日本の伝統的な和装文化を現代に合うような形で、復活させることです。

だからこそ、SOUSOUが志向しているデザインは「日本の伝統の軸線上にあるモダンデザイン」なのです。

こういうユニークなコンセプトを掲げているアパレルブランドは他になく、差別化が非常にできている事例でしょう。

SOUSOU小巾
画像出典:https://shop-pro.jp/

3.差別化戦略の方法

では、最後に差別化戦略の実践方法について解説していきたいと思います。

3-1.コンセプトによる差別化戦略

まず、差別化戦略を実践していくにあたって、重要になるのは、コンセプトを作ることです。

コンセプトというのは、先ほどもお伝えしましたが、「どんな〇〇なのか?」という世界観のことです。

このコンセプトを先に定めることによって、差別化の方向を決めていくことができます。

ここがなければ、そもそもどの方向で差別化していくのかが分からないので、上手くいきません。

例えば、鍋の機能的価値、一つとってもそうです。

バーミキュラみたいに素材本来の味を引き出すという切り口もあれば、単純に洗いやすい鍋という切り口もあります。

どの方向性で差別化していくのかを、コンセプト構築を通じて決めることで初めて、差別化ができるんですね。

1.理想世界の構築

では、コンセプト構築というのは何から始めれば良いのかというと、理想世界の構築です。

理想世界の構築というのは、一言で言うと、「何を究極の価値とするのか?」を決める作業です。

例えば、鍋であれば、どんな鍋が究極の鍋なのかを考えるということですね。

この答えは、様々あるでしょう。

バーミキュラのように、世界一、素材本来の味を引き出す鍋」が究極と考える人もいるでしょう。

また、そうではなく、軽くて、扱いやすくて、掃除もしやすくて、忙しい主婦の人が楽しく料理を作れる鍋を究極の価値に据える人もいるでしょう。

それをまず決めるということですね。

その際には、

  • どんな人に
  • どんな商品・サービスを提供して
  • どうなってもらうこと

から考えると良いですね。

これをまずは、箇条書きでも良いので、言語化します。

パッと思いつかないという場合は、今のその業界の現状から見ていくことをオススメします。

例えば、鍋を作るのであれば、今市場にはどんな鍋があるのか、どんな会社があるのか、どんなお客さんがいるのかを見ていくんですね。

そうすると、必ず出てくるのが

  • 不条理
  • 憤り

です。

そこから「もっとこうなった方が良いな」という思いが生まれてくるはずです。

例えば、ホーロー加工の鋳物の鍋は食材を芯から温める事はできるけど、ステンレス鍋のような無水調理はできないというような現状がわかったりするわけですね。

そこには、実現不可能と誰もが思えるほどの技術的な難しさがあり、どこのメーカーも挑戦せずに、妥協してきました。

だからこそ、そういう鍋を作ろうと、愛知ドビーはなったわけですね。

このように、業界の現状を見ていくと、理想世界のタネが見つかります。

また、最終的にコンセプトとして、形にしていくときに求められるのが「なぜ、そのコンセプトをあなたが掲げるのか?」という必然性です。

この必然性がなくても、コンセプトは作ることはできますが、これがなければ、芯がないコンセプトになってしまい、結局、ブームしか生み出すことはできません。

例えば、

住むだけで、一生、元気で過ごせる健康住宅

というようなコンセプトを最終的に作ったとします。

本当にそんな家があれば、売れるでしょう。

でも、重要なのは、なぜあなたが、

住むだけで、一生、元気で過ごせる健康住宅

を売っているのかという部分です。

例えば、ここに、こんなストーリーがあったとします。

小さい頃、大震災に遭い、家族全員、仮設住宅に移りました。

その仮設住宅は寒く、湿度調整も出来ず、どんどん家族の体調は悪化して、母親は持病の病気を再発してしまい、そのまま帰らぬ人になってしまいました。

何も出来ず、ただただ、母親が苦しむ姿を見届けることしか出来なかったんです。

その子供の頃には、原因が分かりませんでしたが、大人になり、住宅業界に入ったことで、明らかに家の構造と、人の健康に大きな因果関係があるということがわかりました。

実際にこれまで私が作ってきた家に住んだ方々は、持病のアトピー、心臓病、更年期障害などがどんどんよくなっていきました。

どういう家に住むか、それが家族の幸せを決めると思います。

だから、私は、この健康住宅を死ぬまで売り続けたいのです。

いかがでしょうか?

恐らく、コンセプトに力強さが出ていると感じると思います。

これがストーリーの力です。

なので、

  • どんな人に
  • どんな商品・サービスを提供して
  • どうなってもらうこと

が理想なのか、これは、思いつきではなく、自分のストーリーからぜひ、発想してみてください。

最初から、完璧なコンセプトは作れません、

あなたの人生のストーリーの進捗度合いによっても、コンセプトの完成度は変わるので、今の等身大の自分で良いので、まずは、言語化していきましょう。

2.コンセプトの言語化

そして、理想世界ができたら、後はこれを表現としてブラシュアップし、「コンセプト」にしていきます。

コンセプトとは、理想世界を一言で表現したものです。

具体的には

  • キャッチコピー
  • サブコピー

まで落とし込みます。

例えば、バーミキュラであれば、

暮らしをかえる鍋

というのがキャッチコピーにあたります。

ただ、これだけだと、このバーミキュラがどんな風に暮らしを変えていくのかなどが抽象的過ぎてわかりません。

なので、この部分をサブコピーで補足説明として補っていく必要があります。

バーミキュラのサブコピーは

「息子がブロッコリーを食べた」「調味料を使わなくなった」「外食しなくなりました」「誰かといっしょに食べたくなる」そう。バーミキュラは、その機能性の高さで、あなたの暮らしを変えていく鍋なのです。

です。

バーミキュラという鍋の特徴、そしてこの鍋を使うと、どんな暮らしが待っているのかありありと想像できる文章ですよね。

この2つの表現に落とし込んでいきましょう。

3-2.機能的価値による差別化戦略

さて、続いては、機能的価値による差別化戦略です。

機能的価値は、

  • 性能
  • 品質
  • 素材
  • 価格

のことであると前半にお伝えしましたが、重要なのは方向性です。

機能的価値だからといって、何でもかんでも機能を付け加えれば良いというわけではありません。

例えば、病院を経営していて、来院する患者さんに、もっと健康について勉強して欲しいからといって、医学の専門書をプレゼントするのは違います。

誰もそんなものは求めていません。

どういう方向性で機能的な差別化をはかるのかが定まって初めて、機能的価値による差別化はできます。

だからこそ、まず、最初にコンセプト構築なのです。

コンセプト構築によって差別化の方向性を定めていくことが出来ます。

バーミキュラであれば

暮らしをかえる鍋

がコンセプトです。

そして、そのコンセプトを実現していくために

  • ホーロー加工された鋳物を使用している
  • 気密性が高く、無水調理ができる

という機能的価値が設定されています。

機能的価値も、当然ですが、ユニークであるからこそ、価値を持ちます。

バーミキュラもこんな機能を兼ね備えた鍋は、他のメーカーが実現できてないからこそ、市場で圧倒的に支持されています。

ただし、気をつけたいのが、機能的価値だけに頼った差別化は危険だということです。

というのも、機能的価値は、いずれコピーされてしまうからです。

バーミキュラを、競合他社となるメーカーが分解し、分析し、その機能に近い、もしくは遥かに超えた鍋を開発することだって、当然可能でしょう。

そうなってしまうと、機能的価値だけで差別化していれば、お客さんは当然、移っていくことだってあり得ます。

なので、感情的価値も含めて、トータルで差別化していく必要があるということですね。

3-3.ストーリーによる差別化戦略

そして、次にストーリーによる差別化戦略です。

ストーリーには、価値を引き上げる力があります。

例えば、バーミキュラの開発ストーリーがそうですね。

この奇跡の鍋ができるまでに

  • 鋳物の鍋をホーロー加工すること
  • 鋳物の鍋の密閉性を高めること

という2つのステップの難易度が非常に難しかったのです。

例えば、鋳物の鍋をホーロー加工するという技術は、フランスですら3社しか実現できていないほど難易度が高い技術でした。

どうしてもホーロー加工する過程で、鋳物に気泡が入ってしまい、日によっては鍋が全滅する日すらあったそうです。

鋳物の成分比率を微妙に変えて、試行錯誤しながら、ようやく1年後に鍋が完成しました。

また、こうして完成したホーロー加工された鋳物の鍋を密閉度を高めるのは、さらに難しい技術が要請されます。

鋳物は熱を加えると、すぐに形が変わるので、通常、密閉性が低くても出荷されるのが普通です。

そんな鍋、世界でどこの会社も作ったことがありません。

リーマンショックで工場自体も佳境を迎える中、3年間で1万個の失敗作を作り続け、ようやくできたのが、あのバーミキュラ です。

この開発ストーリーを聞くだけでも、バーミキュラに対する見方が大きく変わると思います。

ストーリーにはそういう力があるということですね。

人は背景に価値を感じる生き物なのです。

ストーリーには大きく分けて、

  • 自分のストーリー
  • お客さまとのストーリー

の2種類に分かれます。

自分のストーリーというのは、それこそ、こういう開発ストーリーだったり、その会社の代表の人のストーリーだったり、その会社そのものの歴史だったりが、これにあたります。

その会社の代表の人がどういう人物なのか、なぜ、この会社を立ち上げたのか、そういう背景を知れるだけでも、差別化につながるという訳ですね。

鉄板で使えるのは、

  • 現在、何をしているのか
  • 現在の活動につながる過去
  • 実現していきたい未来

の順番でストーリーを書くことです。

これはプロフィールページなどで使うと非常に効果的な方なので、ぜひ、使うようにしましょう。

また、お客さまとのストーリーも同様の意味で、価値を引き上げていくことができます。

先ほど、バーミキュラでは、バーミキュラを使ったレシピの相談も電話で乗っているということをお伝えしたと思います。

その懇切丁寧な電話サポートによって、野菜嫌いの子どもが野菜をどんどん食べるようになったというようなストーリーがあると思います。

そういうストーリーを聞くと、同じような悩みを持っているお母さんは、興味を持ち、購入に至る可能性は非常に高まります。

というのも、お客さまのストーリーというのは、購入前の時点で、購入後の未来を疑似体験させることができるからです。

なので、お客さまとのストーリーも準備するようにしましょう。

3-4.キャラクターによる差別化戦略

では、次にキャラクターによる差別化戦略について。

これは「誰が」という部分で差別化するということです。

「誰が」をうまく表現し、伝えていくことで大きな差別化に繋がります。

東京の京橋に「イデミスギノ」というケーキ屋さんがあります。

「イデミスギノ」は、日本を代表するパティシエの杉野英実さんのお店です。

杉野英実
画像出典:https://www.kyounoryouri.jp/

杉野さんは、「クープ・ド・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」というパティシエの世界大会で、日本チームを史上初めて優勝に導いた人です。

杉野さんは、中学2年生の時の誕生日に、お母さんが一流ホテルで買って来てくれた誕生日ケーキを食べて、感動したことがきっかけで、菓子職人になることを決意します。

高校卒業後、一流ホテルの菓子製造部門に就職しました。

ですが、見習い期間の1年間でやったのは、アイスをただかき混ぜるだけの作業。

ケーキもろくに一人で作れない。

そんな現状に歯がゆさを感じて、本場のフランス・パリで、一流の技術を身につけるために、修行することを決意します。

バイトでお金を貯めて、25才の時に、パリではなく、ストラスブールという片田舎の街のホテルに就職します。

やっとフランスのホテルで修行できると思ったものの、そのホテルにはパティシエはおらず、ただお菓子をレシピ通りに作ることを求められ、雑用ばかりさせられる日々が続いたそうです。

ホテルはただ、人件費が安い外国人の労働者が欲しかっただけだったのです。

一流の技術を学びに、フランスまでやって来たのに、技術が学べない。

そんな日々が続く中で、転機がやって来ます。

それが「ペルティエ」というお店との出会いです。

杉野さんは、ペルティエのケーキの驚くほど深い味わいに、虜になり、オーナーのルシアン・ペルティエに直談判で、このお店で雇ってくれと頼んだそうです。

しかし、ペルティエの答えは「No」。

ペルティエ

それでも、杉野さんは頼み続け、ついには「俺はお前のことが嫌いだ」とまでペルティエに言われてしまいます。

ですが、杉野さんは、諦めずに、4年間、毎週手紙を送り続けます。

そして、ついに、ペルティエの店で働けることになります。

ようやく、本場で超一流の菓子づくりの技術が学べる

と杉野さんは思いましたが、ペルティエの店で作るお菓子のレシピは、全て、製菓学校のものと変わりませんでした。

もう既に、レシピや作り方は、学校で習っていたものだったのです。

これまで様々な店を渡り歩いて、修行して来ましたが、なぜ、これだけ違いが出るのか、最初は分かりませんでした。

ですが、ペルティエの店では、その作る基準が非常に厳格で高いことに気づかされました。

  • ベリーなら少しでも傷んでいたら使わず、はじく
  • スポンジに染み込ませるソースは一滴足りとも余らせず、全て使う
  • 少しでも焼きすぎたら、それはお客に出さない

など、当たり前のことなのですが、これが徹底されていたお店は、ペルティエの店以外では、ありませんでした。

どんなお菓子であっても、当たり前のことを大事にし、妥協して作らない。

技術だけではなく、そういう姿勢が究極のお菓子を生むということに気づいたのです。

修行後、日本に帰って来て、自分でオープンしたお店でも、いまだに息づいています。

こんな風にその人の実績だけではなく、その人自身の価値観やストーリーを伝えられると、「イデミスギノ 」に対する見方が大きく変わると思います。

そんな姿勢でお菓子作りに取り組んでいるのであれば、ぜひ食べてみたいとなるはずです。

  • 何を大切にしているのか
  • 何のためにその仕事をしているのか
  • これまでどんなストーリーを歩んできたのか
  • その仕事をしていて、どんな理想世界を作りたいのか

などをWebサイトや動画などに表現できると、非常に効果的にキャラクターで差別化していくことができます。

3-5.デザインによる差別化戦略

そして、最後にデザインによる差別化ですね。

デザインは、先ほども言いましたが、価値を非言語で一瞬で伝える役割を持っています。

その際に重要なのは、コンセプトに基づいたデザインをするということです。

例えば、今治タオルというタオルがあります。

今治タオル
画像出典:http://imabari-towel.jp/

このタオルには、

  • タオルの名産地
  • 吸水性が凄い
  • 品質基準が厳格

という特徴がありますが、このパッケージデザインは、まさにそれを体現しています。

余計な装飾はなく、タオルそのものの品質の高さを一瞬で認知させるようなパッケージデザインになっています。

これがコンセプトを体現しているデザインだということです。

デザインによる差別化を行なっていくためには、まずはタッチポイントを整理しましょう。

タッチポイントとは、

  • Webサイト
  • SNS
  • ロゴ
  • チラシ
  • パンフレット
  • 名刺
  • ポストカード
  • パッケージ
  • プロダクト
  • 店舗

など、お客さまが触れる接点のことですね。

まずは、これを整理します。

そして、その上で、デザインの方向性を決めます。

  • シンプル
  • スタイリッシュ
  • エレガント
  • 可愛い
  • イラスト
  • 和風
  • ヨーロピアン
  • ポップ
  • ナチュラル
  • モノトーン

など、デザインのキーワードを出すのがオススメですね。

できれば、参考のデザイン、イメージに近いデザインなどがあれば、それをデザイナーさんに提案するのが良いでしょう。

また、デザイナーを探す際には、過去の制作実績を見せてもらってください。

そして、その上で、「なぜ、こういうデザインにしたのか」聞いてみるのが良いですね。

腕の良いデザイナーは、それを理論的にも説明することができます。

できないデザイナーは感覚的になんとなくやっている場合が多いので、そういう場合は、依頼するのは注意しましょう。

4.差別化戦略のまとめ

では、最後に差別化戦略についてのまとめをしておきたいと思います。

現代は同じような品質・価格の商品・サービスが溢れる選択肢過剰の時代です。

だからこそ、他との違いを生み出していくという差別化戦略が、大前提としてビジネスには必要です。

差別化は大きく分けて

  • 機能的価値による差別化
  • 感情的価値による差別化

の2つの方向性があります。

機能的価値による差別化とは、

  • 性能
  • 品質
  • 素材
  • 価格

などの「機能」によって違いを生み出していく戦略です。

また、感情的価値による差別化は、

  • コンセプト
  • ストーリー
  • キャラクター
  • デザイン

によって感情的に価値を感じてもらえる部分で違いを生み出していく戦略です。

差別化戦略のステップとしては、まずコンセプトで差別化の方向性を定めて、機能的価値、ストーリー、キャラクター、デザインという順番で差別化していきます。

いかがでしたでしょうか?

ぜひ、今回の記事を読んで、差別化戦略を実践していってくださいね。

では、今回は以上になります。お疲れ様でした!

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