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2019.1.28 (更新日:2021.7.28) | ブランディング戦略

三方よしの意味とは?事業を永続させる近江商人の知恵

三方よしの意味とは?事業を永続させる近江商人の知恵

どうも!ブランドクリエイターの中江です。

「三方よしってどういう意味なの?」という方は意外と多いんじゃないでしょうか?

日本には江戸時代から数百年と続いているような老舗企業がたくさんあります。

数で言えば世界ダントツでNo.1です。

そうした老舗企業を創業してきた中核の商人に、近江商人がいます。

「三方よし」は、その近江商人が、商売をしていく上で、大切にしていた精神のことです。

この「三方よし」の精神を体現し続ければ、数百年、繁栄していくような企業を作っていくことができます。

もう既に、自分ビジネスをしている人、これからしようと思っている人にとっては、非常に重要な考え方になるので、ぜひ、ご覧ください。

では、早速始めていきましょう。

1.三方よしの意味とは

では、まずは三方よしの意味について解説していきます。

1-1.三方よしの意味

三方よしとは「売り手よし、買い手よし、世間よし」という江戸時代に活躍した近江商人たちが大切にしてきた考え方のことです。

つまり、「売り手にとっても良い、買い手にとっても良い、世間にとっても良い商売をしましょう」という考え方です。

三方よし

近江商人は、現代の言葉で言い換えるなら、スーパー営業マンです。

地元、近江の特産品を持って、たった1人で天秤棒を肩に担ぎ、他の地域に行き、信用を作り、そこで売りさばきます。

そして、そこで得た資金を使って、さらに近江にはない商品を仕入れ、地元に戻り、更に利益を膨らませ、最終的には本店を近江に、そして支店を、江戸、大阪、京都に出す経営者になって行きます。

近江商人の天秤は、千両天秤とも言われ、たった一つの天秤から、今の貨幣価値でいうと、5年で5000万円稼いできたそうです。

実際に、江戸時代から続いている代表的な企業として

  • 大丸
  • 高島屋
  • 伊藤忠商事
  • 住友財閥
  • 西川産業

などがあります。

現代の統計では、会社を興して、1年で約60%は潰れ、5年後には85%が潰れ、10年後には94%が潰れると言われています。

そう考えると、江戸時代から続いているなんて、とても奇跡的で、凄いですよね。

実は日本は、そういう数百年単位で続く企業が、世界でもダントツで多い国です。

創業200年を超える企業は、全世界で5586社ありますが、そのうちの3146社(全体の56%)が日本の企業なのです。

ダントツで一位です。

これは、一体なぜか?

それは「三方よし」の精神があったからです。

1-2.三方よしで、なぜ企業の繁栄が続くのか?

この地球上で、これまで一番永続しているものは何か?

それは、自然です。

歴史のほぼ全期間を通して、日本人の大半は、稲作を主体とした農民でした。

稲作

実際に、岡山県の朝寝鼻貝塚から、縄文時代前期(6000年前)の稲作の痕跡が発見されています。

そんな古くから、日本では人々が協力し合い、稲作が行われていたのです。

日本人は四季の循環の中で、その変化に対応し、生きていくことが求められます。

その自然の変化に逆らい、生きていくことができません。

だから、日本人は、昔から「自然の秩序」にしたがって生きるという精神構造が形成されていきました。

自然にしたがって生きるのが正しいことであり、自然に逆らって生きることは間違っているということですね。

だから、自然を「被造物」「支配対象」としてみる、西欧的な価値観とは全く違うのです。

自然がこれまで永続してきたのは、そこに「循環」があるからです。

自然循環

太陽の熱エネルギーが海の水分は蒸発させて、雨となり、川となり、それが人間や動物の生活の水となり、排出され、再び海に戻り、循環していく。

こういう循環のサイクルが自然にはあります。

太陽も、海も、雨雲も、人間も動物もそれぞれの役割を果たしているからこそ、この循環は続きます。

例えば、太陽がなくなれば、一瞬でこの循環は止まり、地球は滅んでしまいます。

海が汚れた水を浄化できなくなったり、そこから水分が蒸発しないほど冷たくなってしまったら、雨は降らなくなります。

「三方よし」というのは、まさにこうした自然循環の思想です。

  • 買い手にとっても良い
  • 売り手にとっても良い
  • 世間にとっても良い

この項目のどれが止まっても、ビジネスは衰退して行きます。

どれだけ買い手が満足してもらっても、売り手が常に赤字で、自己犠牲的に商売をやっているのでは、続きようがありません。

売り手だけが大儲けをして、買い手が損をしたり、満足しないようであれば、お客さんは離れていきます。

また、売り手と買い手が満足していても、それが世間的に見て犯罪であれば、それはそれでストップがかかります。

だから、このどれが欠けても、商売というのはうまくいかないのです。

2.三方よしを活用する

では、次にこの「三方よし」をビジネスにどう活用すればいいのかという話をしていきたいと思います。

2-1.三方よしと理念の構築

自分のビジネスに三方よしを活かすためには、まず、理念を作る必要があります。

事業というのは、理念が現実化されてできるものだからです。

「三方よし」に基づく事業を作るのであれば、「三方よし」に基づく理念を作る必要があります。

まず、その理念を作るためには、

  • 誰に
  • どうなってもらいたいのか
  • 何のために

という部分をまずは明確に書き出すことです。

これが事業の理念の原型になります。

お客さんを連れていきたい理想の未来と言い換えてもいいかもしれません。

自分の事業を通じて、「どんな人」を、「どんな理想の未来」に連れていきたいのかということですね。

また、この時に、何のためにという視点も忘れてはいけません。

この時に「自分が儲けるため」や「自分が得をするため」などの理由も論外です。

それだと三方良しの理念にはならないので。

で、この理想世界の部分を書き出すときのポイントは、必然性を持たせるということです。

「誰に」も「どうなってもらいたいのか」も「何のために」も自由に書けば良いのですが、欠けてはいけないのは「なぜ、自分がその理想世界を掲げるのか?」という部分です。

これが欠けてしまったら、説得力を持ちません。

例えば、

日本を緑あふれる豊かな国にする

という想いを持っていたとします。

ただ、まだのこの状態だと、良いことをしようとしているというのは見えるんでしょうが、この言葉からは、何の魅力も、説得力も感じません。

ここに必要なのは、ストーリーです。

今回の場合であれば、「なぜ、自分は日本を緑あふれる豊かな国にしたいと思うようになったのか?」ということですね。

例えば、「日本植生株式会社」という環境創出企業があります。

日本植生株式会社

日本植生は、従業員233名、売上規模69億円で、環境保全・緑化事業では日本でもトップクラスの会社です。

創業者は、柴田正さん。1921年に、岡山県の津山で生まれました。

小さい頃から「お国のために役立ちたい」という使命感を持っており、16才の時に自ら海軍に入隊することを志願します。

そして、ミッドウェー海戦、ソロモン沖などの海戦を戦い抜き、自らもお腹に被弾しながら、終戦を迎えます。

戦争が終わり、緑豊かだった故郷の津山に戻ると、そこには丸坊主になった山々や荒れ果てた大地が広がっていました。

その光景に衝撃を受け、

自分たちが命を賭けて守ろうとした祖国はこんなにも荒れ果ててしまったのか。荒廃した国土を回復させるには自然を豊かにして、緑の大地を取り戻さなければいけない。これからは緑を再生させることに自分の生涯をかけよう
『日本で一番大切にしたい企業5』(坂本光司)

というようなストーリーがあればどうでしょうか?

理念にも重みが出てくると思います。

理念に必然性を生むのはストーリーです。

ストーリーがあると

あぁ、この人はだから、生涯をかけて緑化事業をやっているんだ

という共感が生まれます。

筋が通っているからです。

筋が通っていたら、理念には力が宿り、人を巻き込んでいけます。

また、理念を作ると、本人にとっても、過去と現在と未来が統合されて、全ての行動に「俺はこのために生きているんだ」という一体感が生まれて、とんでもないエネルギーが生まれます。

そうすると、合理性を超越した行動を取れるようになります。

例えば、日本植生株式会社であれば、1959年、秋田にある八郎潟という琵琶湖の次に大きい湖を埋め立てて、耕地にするというプロジェクトに参加することになります。

広大な堤防の斜面を緑化することが、日本植生に与えられたミッションでした。

ですが、猛烈な寒波、強風、凍結が起こり、植えた芝は全滅、堤防は砂丘のようになってしまいました。

管轄の農林省からは

天災だから仕方ない。復旧工事はやらなくていい
『日本で一番大切にしたい企業5』(坂本光司)

と言われたそうです。

ですが、日本を緑化することを志に据えている、日本植生は、全財産を賭けて、自腹で修復作業を続けることを決意します。

そして、不可能だと言われていた、緑化に成功し、緑に覆われた八郎潟が完成しました。

このエピソードを聞くだけでも、もし緑化の仕事を依頼するなら、ここに依頼しようと思う人って出てくるはずです。

理念にストーリーが宿っていれば、自然と「三方よし」の精神が体現されるようになります。

八郎潟の緑化という事業自体、世間にとって良いことですし、業務を完璧に遂行することで依頼した農林省にも感謝されますし、この仕事を通じて、色んな仕事の依頼が舞い込むことによって、日本植生自体にとっても良いことです。

全てがそうして、循環するのです。

なので、まずは自分のストーリーの棚卸しするのがおすすめです。

過去を遡って、現在までを書き出しながら、見ていくと、必然性が見えてくると思います。

また、その理念の厚みは、ストーリーの厚みによっても決まります。

だから、日々、どれだけ、理念に必然性をもたらせるような生き方をしているのかすらも問われます。

それがその理念のパワー、「三方よし」を実現していけるかを決めます。

この理念の作り方については、以下の記事でも書いているので、ぜひ、参考にしてください。

経営理念とは何か?重要性、作り方、事例までをわかりやすく解説

「経営理念って何?重要なの?」「どうやって作ればいいの?」という人は意外と多いんじゃないでしょうか?そこで今回は、「経営理念とは何か?重要性や作り方、事例までをわかりやすく解説」というテーマでお話していきたいと思います。興味がある方は、ぜひご覧ください。

2-2.三方よしと職分の追求

日本の老舗企業研究をしていくと、必ず、誰もが行き当たる江戸時代の思想家がいます。

それが、石田梅岩です。

石田梅岩

日本で数十年、数百年続く企業は、彼の思想に多かれ少なかれ、影響を受けています。

“経営の神様”と呼ばれる松下幸之助も、”日本資本主義の父”と呼ばれる渋沢栄一も彼の思想を深く学んでいます。

まさに、長く繁栄していく「日本型経営」の礎を築いた人でしょう。

彼の思想は、要するに

宇宙の秩序と人間の秩序は同一。この秩序の継続性を「善」とし、それが人間の本質である

というものです。

宇宙の秩序というのは、自然の秩序のことです。

この宇宙の秩序に従うことこそ、「善」であり、人間の本質であり、長く繁栄していく経営ができるのです。

「三方よし」の考え方は、まさにこの宇宙の秩序に沿った考え方です。

ただし、人間には七情(喜・怒・哀・恐・愛・悪・欲)があります。

それに惑わされると、宇宙の秩序とは、遠ざかった生き方になります。

例えば、「自分が儲けたいから、自由になりたいから、ビジネスをする」なんて行為はまさにそうです。

そこには、売り手にとっての得しか考えられていないので、「自然」ではありません。

では、どうすれば、宇宙の秩序に従った、仕事ができるのか?

それには、「職分の追求」が必要だと、梅岩は説きます。

職分の追求とは何かというと、その仕事が全うすべき役割を追求することです。

それぞれが役割を果たすからこそ自然は循環しています。

どんな仕事にも、職分が必ずあります。

例えば、僕自身は、デザイナーという仕事をしています。

デザイナーの職分とは何か?

答えは色々と考えられるでしょう。

僕自身は

世の中に多くの人にとって価値のあるもの、助けになるもの、役立つものを広めていく

ことだと、考えています。

だから、その信念を元に、デザイナーとして活動しています。

では、それを徹底的に追求していくとどうなるのか?

デザインスキルやそれに付随する能力は一流にまで伸ばすことができるので、仕事の依頼を受ければ、その存在を確実に広めていくことはできるようにはなるでしょう。

当然ですが、自社の売上も確実に上げていくことになります。お客さんにも満足されてリピートされるでしょう。

それだけではありません。

その広めていくべき対象というのが、より多くの人の幸せやお役立ちに繋がっているのであれば、志に目覚めるようになります。

そうなると、仕事をやること自体が「生きがい」となり、やればやるほど、自分と「世間」と、に一体感が生まれるようになり、それは、事業を長く繁栄させるだけのエネルギーを持ちます。

この「買い手」「売り手」「世間」のどれがかけてもダメなのです。

もちろん、一足飛びで、自分が思う理想の形は実現できないかもしれません。

例えば、理想のカバンを想像上で作り上げたとしても、素材や機械の費用が高くて買えないということもあるでしょう。

でも、それでも、今の環境の中で、やれることというのはあります

それを果たしていくからこそ、次の展開が生まれていきます。

素材や機械は高くて買えなくても、お客さんにカバンに込める情熱は語れるでしょう。

それがお客さんの心に響けば、売上も上がり、口コミも広がり、素材や機械も少しずつ揃えていけるかもしれません。

そうすると、どんどん理想のサービスが形になっていきます。

これが職分の追求です。

2-3.三方よしと近江商人の商売十訓

「三方よし」が体現されたをビジネスをしていくにあたって参考になるのが、「近江商人の商売十訓」です。

これは近江商人が商売をするにあたって、意識してきたことです。

1.商売とは世のため、人のために奉仕することである。世のため、人のために勤勉に働いていけば、利益はきちんと後からついていくものである

2.店の大小は問題ではない。商売をする場所が良い悪い、という問題でもない。いい商品を、お客さんのために提供できれば、おのずから商売は繁盛するのだから。

3.「お世辞を言って商品を売りさばいてしまえば、それでいい、その後のことは知らない」というのでは商売は繁盛しない。売った後に、いかに面倒を見るかが大切である。面倒見のいい商人には、常連客が集まるものである。

4.資金の少ないことを嘆くことはない。むしろお客さんへの信用の足りないことを嘆くべきである。信用のない商人は、絶対に繁盛することはない。とにかく信用を得ることにまず励むべきである。

5.商品を無理やりに売りつけることは決してしてはいけない。お客さんの「好むもの」を売るのも、本当の商人ではない。本当の商人とはお客さんの「ためになるもの」を売るものである。

6.いい商品を売ることは善の行いと言える。いい商品を多くの人たちに買ってもらうために努力を重ねることは、それだけで世の中のためになることであるから、やはりよい行いと言える。

7.紙一枚のサービスであっても、お客さんは喜んでくれるものである。商品を買ってくれたお客さんには、何でもいいので、サービス品を提供してあげるべきである。何もつけてあげられないならば、あなたの「笑顔」を分け与えてあげなさい。

8.「正直な値段」で、一生懸命「正直な商売」をするのが商売繁盛のコツである。不当な利益をとろうとすれば、お客さんは離れていくものである。しかし、一方で無理な値引きをすれば、自らの商売が成り立たなくなることも忘れてはならない。

9.つねに損益のことを考えながら商売をするのが本当の商人である。いい加減な、どんぶり勘定をしていては、末長く繁盛していくことはできない。今日一日どれだけの損益が出たか、しっかり計算して明らかにしないうちは、夜寝てはいけない。

10.「今は景気が悪いから、物が売れない」というのは言い訳にすぎない。景気が悪い時であっても、繁盛する商人は色々な努力や工夫をして、儲けを出していくものである

この十訓を読めば、いかに近江商人が「人のため」「世のため」を意識して、商売していたことが分かります。

絶対にスタートを自分が儲けようなど、「自分のため」から始めることはしません。

まずは、お客様に喜んでもらい、それが世の中の役に立ち、そうして商売をしていくと、自然と上手く、長く繁栄していくのだということが体感覚で分かっていたのでしょう。

これが商売の「自然」な形なのです。

この十訓を意識するだけでも「三方よし」は体現できるので、ぜひ、実践していってください。

2-4.三方よしが、神話を作り、ブランドを作る

「三方よし」という精神が体現できるようになると、「合理性」を超越できるようになります。

「合理性」を超越できた企業というのは長く繁栄していきます。

フランスの経済学者にミシェル=アルベールという人がいます。

彼は「資本主義 対 資本主義」という著書の中で、アングロサクソン型とライン型の二つの経営スタイルがあると指摘しています。

アングロサクソン型の資本主義とは、アメリカや英国を中心とした欧米諸国に見られる経営スタイルで、簡単に言えば、株主の利益を最優先し、もし業績が悪化してしまえば、株主の価値を守る必要が出てくるので、積極的に人員削減を行うというものです。賃金制度としては、成果主義で、自己責任という価値観を重要視します。

一方で、ライン型の資本主義とは、ドイツや日本に見られる経営スタイルで、簡単に言えば、株主だけでなく、従業員、お客様、取引先、社会などの関係性を重要視します。賃金制度としては、年功序列と終身雇用を重要視します。

基本的には、欧米の経営スタイルというのは、合理性の追求です。

利益(特に株主への)を経営の中でも最上位に据えて、それに基づき、合理的に経営判断を下していきます。

そこに情などは一切不要です。

景気が悪くなり、株主への利益が還元できないと判断するや否や、平気で社員のクビを切ります。

賃金制度としては、成果主義制です。結果を出せば出すほど、収入が増えます。

効率的で、合理的に経営を進めるので、短期的には売上は出るとは思います。

ただし、合理性の追求の先に、長く繁栄する企業を築き上げることはできません。

なぜなら、社員もお客さんも合理性に基づいて、その企業と接するようになるからです。

例えば、社員であれば、給与や待遇が良くなければ、すぐに辞めていくでしょうし、自分の評価を上げるために、同僚を売るようなこともするかもしれません。

また、お客さんも合理的にコストパフォーマンスを重視するので、より品質の良いものが出てきたり、安いものが出てきたりするだけで、簡単に目移りしていくということが容易に考えられます。

実際にこの形の経営を中心にしていて、長く繁栄している企業はありません。

この組織は変化に弱いからです。

景気が悪くなれば、誰も支えて応援してくれることはないからです。

一方で、ドイツや日本で多く見られるライン型の経営スタイルは、長く繁栄します。

例えば、伊藤忠商事の創業した、近江商人の伊藤忠兵衛の経営手法は、まさに革命的でした。

伊藤忠兵衛

社員を売上を上げる、ただのコマとして見ず、本当に大切にしたのです。

例えば、「三分利益」という制度がありました。

三分利益とは、店で上がった売上を

  • 主人
  • 奉公人
  • 不測の事態への備え

で3等分しようという制度です。

これは江戸時代でも画期的な制度でした。

特に、奉公人に利益を還元しようという部分ですね。

奉公人というのは、住み込みで徹底的に仕事を叩き込んでもらう代わりに、給料はほとんどもらえないというのが常識でした。

お店から上がる利益は、アングロサクソン的に考えるなら、自分の懐に入れますよね。

ですが、利益がみんなに還元されるので、奉公人も俄然やる気が出て、それが今日の繁栄に繋がっていきました。

また、伊藤忠兵衛は、奉公人のために「牛鍋の日」を何回か設けました。

牛鍋とは、すき焼きのことですね。

当時の奉公人の食事は、1日2食で、昼飯はご飯、つけもの、味噌汁で、夕飯は、ご飯、つけもの、味噌汁、おかず一品程度で、かなり質素だったそうです。

若い人も多いので、その質素な食事を見かねて、「仕事に精を出してもらいたい」という一心の行動でした。

また、時には、芝居や相撲に連れて行ったりもしたそうです。

これによって帰属意識がとても高まります。

伊藤忠兵衛は、奉公人から絶大な信頼を獲得し、非常に優秀な人材が独立しなかったそうです。

頑張った分だけ、給料も還元され、牛鍋の日や、芝居や相撲に連れても行ってくれ、本当に自分のことを思いやってくれる、そんな組織があれば、「なんとか貢献したい」と思うはずです。

こういう組織が強いのは、形(給料など)で繋がっている訳ではないからです。

「忠兵衛さんの手助けがしたいから、この組織にいる」という部下が非常に多かった訳です。

たとえ、不景気でピンチになったとしても、そういう社員は、絶対に辞めずに、最後の最後まで応援してくれます。

だから、時代の変化にも強い組織ができるんです。

日本植生も、社員を本当に大切にする企業です。

創業以来、一度も社員のクビを切ったことがありません。

それは、バブルが崩壊して、売上が4割減になった時もそうでした。

社員のクビを切るという発想はなく、革新的なM&Aなどをすることによって、この難局も乗り切りました。

ライン型の企業は、すべて「合理性」を超越できます。

「合理性」を超えたところには、「温かみ」があります。

「温かみ」があるからこそ、人は集まってくるのです。

というのも、「合理性」を超えたところに人は感動し、人に伝えたくなるからです。

合理性を追求しているだけの会社には、口コミなどは起こりません。

そうやって、合理性を超越し、社員のためを思う行動をしていれば、それが語るべきストーリーになるのです。

だから、三方よしの精神というのは、経営において重要なんですね。

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3.三方よしのまとめ

では、最後に今回のまとめをしておきたいと思います。

三方よしとは「売り手よし、買い手よし、世間よし」という江戸時代に活躍した近江商人たちが大切にしてきた考え方のことです。

三方よしの精神は、企業を長く繁栄に導きます。

というのも、この三方よしの精神が「自然秩序」に基づいているものだからです。

「自然秩序」の肝は、循環思想です。

循環があるからこそ、自然は、地球始まって以来、永続してきました。

ビジネスの世界では、売り手、買い手、世間というのがキープレイヤーです。

このキープレイヤー全員にとって良い状態だと、自然のように、循環を作り出すことができます。

また、三方よしを具体的に活用するための方法もお伝えしました。

  • 三方よしに基づく理念を作る
  • 職分を問い質し、追求する
  • 近江商人の商売十訓を体現する
  • 合理性を超えた経営判断をする

の4つですね。

どれも三方よしを実践する上で、非常に大切なものなので、ぜひ、実践してみてくださいね。

では、今回は以上になります。お疲れ様でした!

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