どうも!ブランドクリエイターの中江です。
さて、今日は「差別化戦略とは何か?具体的な事例とやり方を徹底解説」というテーマでお話していきたいと思います。
1.差別化とは何か
まずは、差別化とは何かについてお話ししてきます。
差別化することが大事
というのは、自分で事業をされている方なら、これまでに何度も聞いてきたことがある言葉だと思います。
差別化とは、一言で言うなら、「競合他社との違いを生むこと」です。
なぜ、これが大事なのかというと、競合他社との違いがわからなければ、そもそも選ばれないか、たとえ選ばれたとしても価格競争に巻き込まれてしまうからです
例えば、家の近所に、A店とB店という美容院がありました。
それぞれの美容院に在籍する美容師の技術力は、ほぼ同等で、どちらで施術を受けても、満足な仕上がりになります。
また、接客レベルも同程度で、カットなどのメニュー料金も、同じ価格帯で、家からの距離も同じです。
はっきり言って、A店もB店も、ほぼ違いはありません
こんな状態で、A店とB店を選べるのかというと、ほぼ選べません。
選べないというよりも、お客さんの心理としては「どっちに行っても一緒」となります。
提供する価値での違いを生めないなら、お客さんの目は自然と、価格の方に向かいます。
というのも、価格というのは、誰が見ても、違いがわかる客観的な指標だからです
こういうケースは、次のように価格競争になっていくでしょう。
例えば、最初にA店とB店、両方ともカット料金が4000だったとします。
A店はよりお客さんの数を増やすために、クーポンを発行し、新規のカット料金を3000円に、リピーターのカット料金を3500円に設定しました。
すると、同程度のサービスを提供している、B店よりも、安くなり、お得になるので、B店の客数は減り、A店の客数が増加します。
B店は、この状況を打開しようと、A店よりお得な、新規のカット料金を3000円に、リピーターのカット料金を3500円に設定したクーポンを発行します。
すると、B店の減少していた客数は戻り、今度は逆に、A店の顧客数が減っていきます。
この状況を打開しようと、A店はB店よりもさらに安い…というのがエンドレスループで続きます。
これが価格競争です。
こういう現象は、美容室だけでなく、ありとあらゆる業界で起こっています。
つまり、差別化をしないと、選ばれないか、価格競争に巻き込まれるのです。
どんな事業をやるにしても、まずは「普通の○○」を抜け出さないといけません
こういうブランドって他にもあるよね
と思われてしまえば、それだけで事業は苦しくなります。
差別化において重要なのは、価格ではなく、価値で違いを生み出すことです
価値とは違いであり、差別化とは価値を生み出すことです
2.差別化における2つの価値
では、続いては、差別化における2つの価値というテーマでお話していきます。
価値を生み出すという観点に立った時に、まず、価値には2つの種類があることを念頭に入れておく必要があります。
まず、価値には、大きく分けて、
- 機能的価値
- 感情的価値
があります。
2-1.機能的価値とは
機能的価値とは、その商品・サービスが提供する基本的な価値のことで、「機能・品質・素材」などの要素がこれにあたります。
例えば、スマートフォンであれば、「電話ができる」「ネットが使える」「アプリが使える」などが機能的価値ですし、飲食店であれば「料理の美味しさや量」美容院であれば「カット・カラー・パーマの技術」なんかが、機能的価値にあたります。
ここを伸ばしていくことでも、差別化に繋げていくことができます。
当たり前ですが、料理が美味しい店の方が、不味い店よりも集客はうまくいくというわけですね。
例えば、国内を代表する日本酒ブランド「獺祭」は、酒米には最高品質の山田錦だけを使っています。
画像出典:https://toyokeizai.net/
これは素材の話ですが、こういうところも機能的価値になります。
2-2.感情的価値とは
そして、次に、感情的価値という価値もあります
人は、機能性や論理性だけで、商品・サービスを選択しません。
感情が動かされる
という部分でも、価値を感じます。
例えば、一番わかりやすいのが、デザインです。
二つのスマートフォンがあって、両方とも同等の機能であれば、自分の好みのデザインを選択するのが普通でしょう。
これも感情的価値の一つです。
例えば、水曜日のアリスというお店が、福岡・東京・大阪にあります。
画像出典:https://www.space-tokyo.co.jp/
このお店は、ディズニーの不思議の国のアリスをモチーフとして作られたお店で、それにまつわる、お菓子やアクセサリーや雑貨が売られています。
数多くの商品がある中で、とても面白いのが、不思議の国アリスの世界観でパッケージングされた「95mlのサイダー」です。
画像出典:http://sweetshuntertsukiusagi.blog.jp/
価格は、300円(+税別)です。
普通サイダーって、500mlで150円で買えるわけじゃないですか。
300円も出せば、1リットルは買えます。
これが商品として成立しているのは、デザインによるところが大きいです。
感情的価値は、デザインの他にも、キャラクターやストーリーなんかがあります。
キャラクターというのは、
「誰が」販売しているのか?
という部分ですね。
よくスーパーで、「農家の○○さんが育てたみかんです」というようなPOPがありますが、あれはキャラクターによる差別化を図っているわけです。
ただ単に、商品棚にみかんが並べられているだけよりも、
こんなみかん農家さんが作ったみかん
だと伝える方が売れるわけです。
そういう観点から言うと、ターゲットとなる見込み客とどれだけ関係性が近いのかも重要です。
例えば、近所に2つの小顔矯正サロンがあって、どちらも技術力や実績や料金メニューが同じ場合は、お客さんは関係性が近い方を選びます
例えば、一方の小顔矯正サロンが、Instagramでよく、小顔になる方法について発信していて、それをよく見ている人は、発信している方のお店に行きたくなります。
というのも、そのコンテンツを見れば、サロンのオーナーの人柄、雰囲気などがわかるからです。
つまり、メディアでコンテンツ発信をしていれば、それだけ見込み客との関係性は近くなります。
次にストーリーですが、これも非常に重要です。
同程度の商品・サービス力であれば、ストーリーに共感して、選ぶ場合もあります。
例えば、同じ価格のアジフライの惣菜でも、
地元にある日本有数の漁場で、朝採れたところのアジを使っています
とその背景を説明されると、価値の感じ方は変わるのです。
なので、このストーリーも意識的に使いたいところです。
3.差別化戦略の方法
基本的に差別化を行うときは、この機能的価値と、感情的価値をいかに積み上げていけるのかが大事なのですが、単純に積み上げれば良いというものでもありません
価値を積み上げていく方向性も重要です。
例えば、美容院を差別化するといっても、何の方向性も決めずに、ただただ技術力と接客力を磨き、店内をおしゃれにして、清潔にし、ホームページのスタッフ紹介を充実させたところで、お客さんはその美容院の価値を一目で認識できません。
価値を認識してもらうためには、
うちの美容院は一言でいうと、こんな美容院です
ということを伝えないといけません。
これが価値の方向性であり、ブランドコンセプトです。
例えば、「どんな美容院にするのか?」には様々な方向性があります
- ビジネスマンを出世させる美容室
- メイドのコスプレをした美容師に髪を切ってもらえる美容室
- 30代からの大人紳士をかっこよくプロデュースする美容室
- 10分でカットが終わる美容室
こういう方向性を提示することで、「どんな美容院なのか?」をはっきりと認識できるので、価値を感じてもらえるようになります。
また、この際のポイントは、全ての人が価値を感じる方向性はないということです。
「メイドのコスプレをした美容師に髪を切ってもらえる」ということに価値を感じる人もいれば、価値を感じない人もいます
価値とは、絶対的なものではなく、相対的です。
だからこそ、そのブランドが望む顧客層を呼び込むことができます。
価値の方向性を考える際に、まず重要になるのは、
どんな人を顧客としたいのか?
というターゲット選定です。
まずは、これを考えてみましょう
そして、その人たちにとって、価値のある方向性を提示するというイメージですね。
この辺りのブランドコンセプトの作り方は、こちらの動画でも解説しているので、そちらをご覧ください。
そして、この価値の方向性の上に、機能的価値や感情的価値を考える必要があります。
一般の美容院で行うような、シャンプーやブロー・シェービング等などはしない
という一見マイナスに見えることも、コンセプトによっては、大きな価値になります。
例えば、「10分の身だしなみ」をコンセプトに掲げ、とにかく、カットの施術を素早く終わらせることをウリにしたお店であれば、これは立派な機能的価値になります。
こういうコンセプトを掲げているのに、あれこれとサービスを増やしていくことは逆にマイナスになることだってあるのです。
コンセプト次第で、高級食材を使うこともプラスにもマイナスにもなり得ますし、機能数を増やすこともプラスにもマイナスにもなり得ます。
なので、コンセプトを念頭に置いた上で、機能的価値や感情的価値を考えてみてください
では、今回は以上になります。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。
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