どうも!ブランドクリエイターの中江です。
今日は「プロセスエコノミーとは何か?」というテーマでお話していきたいと思います。
さて、この記事を執筆しているのは、2021年7月30日なんですが、この2日前に、IT批評家の尾原和啓さんの『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』という本が出版されました。
この本は、数日前にAmazonのビジネス書をパーっと見ていた時に、なんとなく目に留まって、気になったので購入した本だったのですが、非常に、面白い本でした。
特に、これからの事業の在り方、ブランドの作り方という観点からもそうですし、「現代という時代を再認識する」という点においても、重要なお話がたくさんあったので、こちらの内容を今回はシェアしたいと思います。
Contents
1.現代とはいかなる特徴を持つ時代なのか?
法人であれ、個人であれ、どんな事業をやるにせよ、必ず持っておかないといけないのが「時代観」です。。
時代観とは、「現代は一言で言うと、どういう時代なのか?」という認識のことです。
というのも、会社の事業というのは、マーケティングの手法といった方法論だけで成り立つのではなく、社会全体の関係性の中で成立していくものだからです。
では、現代とは、どういう時代なのか?
プロセスエコノミーでは、現代のことを
良いものを作るだけではモノが売れない時代
と表現しています
普通、多くの人を幸せにするような、便利で、品質が高い商品を作っていれば、事業というのは上手くいきそうじゃないですか。
ですが、今は、それだけでは上手くいかないということです。
これには様々な要因がありますが、まず一つ目が、あらゆる業種・業界が成熟化してしまっていることが挙げられます。
業種・業界の成熟化とは、技術が発展・発達し、業界全体として、商品・サービスの質が向上したということです。
例えば、飲食店で「ここは不味すぎる」という店は見かけなくなったと思いますし、美容院でも「カットの結果、クレームが起こるような仕上がり」にしてくるようなお店はなくなったと思います
これは時代の経過とともに、プレイヤーが増え、技術が向上し、ノウハウが蓄積され、さらにインターネットが登場したことによって、そういった知識や情報を知る機会も多く増えたことも関係しています。
質の高い商品・サービスを提供するための技術は、様々なスクールに行けば、学ぶことができます。
例えば、映像制作について学びたければ、今ならオンラインで、様々なスクールが編集技術につても教えていますし、その映像の事例というのもインターネットを調べればいくらでも出てきます。
それは飲食店でも同様です。
流行っているお店というのは、メディアやSNSで紹介されていたり、ポータルサイトのランキングに載っていたりするので、自身のお店の料理を向上したければ、そういう店に足を運んで、実際に食べてみたら盗めるところはたくさんあるはずです。
つまり、インターネットを通じて、情報収集が容易になったため、競合を簡単にコピーできるようになったというわけです。
だから、どれだけ高い技術力を持って、完成度高く作った商品があったとしても、競合はそれを簡単にコピーしてしまいます。
これは実際に相談された例なのですが、とあるドッグフードを製造・販売している企業がありました。
このドッグフードは、獣医師の先生が開発していて、お金儲けではなく、本当に「犬の健康と幸せのために」作られたドッグフードになります。
製造法に関しても、原材料に関しても徹底的にこだわり、進化栄養学的な観点から業界初となる素材を採用したり、大手がやっていない、栄養素などを壊さない製法を生み出しました。
結果として、このドッグフードは、高単価でしたが、販売してから数年間は順調に売れ続けていきます。
当然です。これまで市場で販売されていたドッグフードとは、圧倒的に価値が違うのですから。
ですが、その後、「この市場は儲かる」と判断した競合他社が一気に、ドッグフード市場に参入するようになりました。
新規で市場参入する時に、必ず、今売れているドッグフードを見ます。
そこで、その先生が開発されているドッグフードに目をつけて、製造法や原料や特徴などをそのままコピーし、「犬の健康や幸せを願ったような」類似商品が溢れるようになります。
厳密には、そういった模倣品と、その先生が販売されているフードは別物なのですが、素人目線からは、違いがわかりません。
結果として、徐々に売上が下がっていき、遂には、広告出稿では採算が取れなくなってきます。
こういったことが起こるのが現代だということです。
つまり、一言で言えば、
「完成形」で差がつけられない時代
です。
例えば、「肩こり」に悩んでいたとしても、その解決方法、実績を持っている整体院なんて、全国にも地域の中にも腐るほどいます。
そして、実際に高い店に行っても、安い店に行っても、基本的にはそういった悩みは解決できるのです。
だから、商品・サービスの「完成形」だけで、比較すると、極論「どこに行っても一緒」「何を選んでも一緒」となっているわけです。
2.プロセスで差別化する時代
「じゃあ、どうすれば良いのか?」ということなんですが、これは完成形というアウトプットでなく、プロセスで差別化することが大事ということです。
2-1.プロセスを共有する
例えば、A店とB店という整骨院があったとします。
「肩こりを治す施術」という完成形は、両方の整骨院は同等の技術水準で、どちらの店に通ったとしても、それなりに満足がいく結果が手に入るとします。
では、肩こりについての悩みやトラブルを抱える人は、どっちの店を選ぶのか?
これは、プロセスに価値がある方を選びます。
例えば、A店は、ブログやSNSでの発信はせず、ただただ、メニュー名と価格が書いている、ポータルサイトを持ってるだけとします。
一方で、B店は、Instagramを頻繁に更新しており、そこでは肩こりの悩みやトラブルを解決するセルフケア動画、先生の人柄やストーリーが分かる日記といったコンテンツが投稿され、ホームページには、肩こりの施術に関する詳細な説明やこだわり、これまでメディアに出演した情報、お客様の声やビフォーアフターがたくさん載ってるとします。
これであれば、どちらを選ぶのかというと、B店が選ばれます。
これは、「肩こりの施術」という完成形以外の、プロセスを共有し、価値を感じてもらうかどうかで、差が生まれるという事例です。
2-2.プロセスに巻き込む
また、これがさらに発展していくと、プロセスを共有するだけでなく、プロセスに巻き込んでいくというモデルが生まれていきます。
他にも、例えば、キングコング西野亮廣さんの『えんとつ町のプペル』という絵本もそうですね。
この『えんとつ町のプペル』という絵本は、2021年2月時点で、発行部数が約70万部に到達し、昨年映画化までされ、興行収入20億円とヒットしました。
通常、絵本というのは、5000部とか、1万部でヒットと呼ばれる世界です
その中で、70万部も売れる絵本というのは、異例中の異例です。
では、なぜ、これだけヒットしたのか?
「西野さんの絵本の完成形が素晴らしかったのか?」というと、もちろん完成形も素晴らしいクオリティーなのですが、それだけではありません。
単純に絵の技術というのは比較できませんが、西野さんと同等もしくはそれ以上の、絵を描けたり、ストーリーを作ることができる人は、他にもいるかもしれませんが、そうした人が絵本を作ったとしても、70万部を超えるようなヒット作を生み出すことは、ほぼ不可能です。
西野さんは、単純に自分のアトリエにこもって、一人で、コツコツ絵本を描いて、いきなり世に出したわけではありません
まず、この絵本自体は、クラウドファンディングで制作費を集められて、さまざまなクリエイターと共同制作されています。
絵本全体の世界観は西野さんが提示し、空の絵を描くのが得意なクリエイターは、空を描き、人物を描くのが得意なクリエイターには、人物を描いてもらう。
単純な話で、西野さん一人で描けば、一人には絵本は確実に売れますが、そのプロセスに、クリエイターが100人いれば、100人に確実に売れます。
口コミの力も100倍です。
また、リアルタイムの絵本の制作状況などは、オンラインサロンのメンバーにも共有され、西野さんが実現したい世界に、賛同するファンがたくさん生まれていきます。
それは、西野さんとオンラインサロンのメンバーの中には、従来のサービス提供者と購入者を超えるような関係を持つ人すら生まれてきます。
例えば、パリのエッフェル塔で、個展をする際に、無償どころか、自分でお金を払ってまで、スタッフとして手伝いたいという人がたくさん現れました
つまり、多くの人が「えんとつ町のプペル」という制作物のプロセスに関わりたいのです。
そして、絵本をさらに多くの人に届けるために、えんとつ町のプペル展を開催できる権利などをクラウドファンディングを通じて配布し、全国各地で、有志が、えんとつ町のプペルの個展を開催するようになりました。
画像出典:https://ovninavi.com/
クラウドファンディングは、単純にプロジェクトを実現させるための資金を調達するツールではなく、資金を支援してくれた人を、この作品を完成させる共同製作者にしてしまうのです。
えんとつ町のプペルというプロジェクトは、クラウドファンディングを通じて、数万人の人が支援しています。
それだけ多くの人が「えんとつ町のプペル」という完成形のプロセスに関わっているのです。
これがプロセスに巻き込むという形です。
完成形に至るまでのプロセスに、どれだけ人を巻き込むことができるのかというのは、これからの時代にとって非常に重要な観点です。
単純に、美味しいトマトを丹精込めて育てて、販売するだけでは、埋もれてしまいます。
まずは、入り口で、どのように作られたトマトなのかというストーリーや、コンセプトなどトマトの背景情報をふんだんに伝えていきます。
そして、トマトの定期便を作り、そこで、このトマトブランドの固定ファンが生まれる仕掛けを作ります。
仕掛けとしては、トマトの定期便を購入してくれてるお客さんには、オンラインサロンに無料で参加できる権利などをプレゼントしましょう。
そのオンラインサロンでは、そのトマトを使った簡単なレシピが定期的にお届けされ、専用のグループで作った料理を会員さん同士でシェアしたり、リアルタイムの栽培状況を伝えたり、収穫祭というイベントを立ち上げて、みんなで一緒に収穫したりします。
するとどんなことが起こるのかというと、そのオンラインサロンに参加する人が、自然と口コミを広げてくれるようになりますし、リピート率も高まっていくでしょう。
販売代理店を募集すれば、その人たちが全国で積極的に販売してくれるようになるかもしれません。
単純に、トマトの美味しさ、含まれている栄養素などの完成形だけをアピールして、販売するよりも、プロセスを共有し、巻き込むコミュニティを持っている方が、これからの時代は強いということです。
美味しさや栄養素は比較可能ですが、
みんなで一緒にトマトを収穫した
という思い出は、取り替え不可能です。
だからこそ、唯一無二の価値を持つのです。
2-3.「意味がある」という価値軸で勝負する
著作家の山口周さんは、著書『ニュータイプの時代』で
これからの社会では、役に立つことより、意味があることの方が価値がある
と指摘しました。
価値には「役に立つ・立たない」という価値軸と、「意味がある・ない」という価値軸があります
人は基本的には、このどちらか、あるいは両方を感じ取った上で、商品選択をします。
そして、重要なのは「役に立つから」選ばれるというのは、非常に価格競争になりやすいということです。
例えば、「切れやすいかどうか」という価値軸で、ハサミが選ばれるのだとしたら、1番目に切れやすいハサミだけが必要であって、2番目に切れやすいハサミとか、3番目に切れやすいハサミとかは不必要なわけです。
実際にコンビニに置かれているような「役に立つかどうか」だけの価値軸で選ばれやすい文房具は、コンビニには1種類しか置かれていません。
その一方で、コンビニには、200種類を超える、タバコなんかが置かれていたりします。
それぞれのタバコには、単純に「切れやすいかどうか」という直線的に比較できるような価値軸があるわけではなく、それぞれが個として唯一無二の価値を持つから、200種類置かれているのです。
タバコは別に役に立つわけではありませんが、そこには「意味がある」のです
ある銘柄が持つ固有のストーリーは、他の銘柄では代替できません。
セブンスターを愛飲している人にとって、セブンスターという銘柄は代替不可能です。
だからこそ、「役に立つ・立たない」という価値軸だけで、勝負するべきではないということですね。
人は、物質的に満たされていくと、「意味」という精神性に目を向けるようになります
明日の食べ物すらままならないという状況であれば、目の前の仕事に必死になりますが、明日も明後日も来週も来月も、食べられないことはないという状況になれば、人は「働く意味」を考えたりします
全ての完成形の完成度が上がれば、
なぜ、これを私は選択するべきなのか?
という意味を用意する必要があります
そういう意味でも、機能的なメリットや価格の安さを訴えて、選ばれるのではなく、コンセプトやストーリーや想いなどのプロセスを共有したり、完成形を作るプロセスに人を巻き込んでいくという視点が、これからの時代はより重要になってくると思います。
そういう意味でも『プロセスエコノミー』は非常に面白い本なので、ぜひ、一度ご覧になってみてください・
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