どうも!ブランドクリエイターの中江です。
「差別化が大事だと聞くけど、差別化って何?具体的にどうすればいいの?」という方は非常に多いんじゃないでしょうか?
差別化ができているかどうかで、ビジネスの成果というのは圧倒的に変わってきます。
例えば、差別化が上手くいっている代表例としてよく挙げられるのは「Apple」ですよね。
Appleの製品は、スマートフォンであれ、パソコンであれ、明らかに他のライバルメーカーとは一線を画す存在になっています。
この差別化ができている結果というのが驚異的で、例えば、iPhoneであれば、「世界のスマートフォン市場での利益を75%以上を持っている」というデータがあります。
iPhoneは差別化ができていることによって、スマホ市場では一人勝ちだということです。
これだけの圧倒的な結果というのは、「差別化」という考え方抜きでは出していくことができません。
なので、今回の記事で、差別化についてしっかりと解説していきたいと思います!
ビジネス初心者の人でも7分あれば、「差別化」について理解できるようになると思うので、ぜひ、ご覧ください。
Contents
1.差別化とは何か?
まずは、差別化していくための具体的な方法論に入っていく前に、「差別化とは」というテーマでお話していきたいと思います。
1-1.差別化の意味
まずは、差別化の意味について解説していきたいと思います。
差別化というのは、簡単に言えば「明確な違いを生み出す」ということです。
どんなビジネスであれ、人から選ばれるからこそ成立しますが、その源泉となるものが「違い」です。
お客さんに選ばれないのは、明確な違いがわからないのです。
例えば、ここに赤いTシャツAとBがあるとします。
このTシャツはそれぞれ同じ素材から作られていて、価格はそれぞれ2000円。
どっちを選びますか?
選べないですよね?笑
だって、違いがないので、どっちを買っても一緒だからです。
でも、例えば、これが赤と青のTシャツであれば、どうでしょうか?
恐らく「赤」か「青」のどちらかのTシャツ選べると思います。
「赤」が好きな人は赤いTシャツを選ぶでしょうし、「青」が好きな人は青いTシャツを選ぶでしょう。
これはシンプルで、違いがあるからです。
違いがあるからこそ、人から選ばれるんですね。
だから、ビジネスをするのであれば、「違い」を生み出すこと(=差別化)が重要なんですね。
これができないと人から選ばれないからです。
ただ、「差別化をしよう」と思って、多くの人が何をやるのかというと「価格を安くする」という戦法です。
確かに、価格によって違いをわかりやすく生み出すことはできます。
同じような赤いTシャツでも、2000円のものと1500円のものは違いますからね。
この場合は、安い方が選ばれます。
でも、価格で違いを生み出そうとすると、価格競争に巻き込まれてしまいます。
例えば、TシャツAを1500円に下げます。そうすると、TシャツAにお客さんが集まります。
でも、そうすると、TシャツBは売れなくなるので、次はTシャツBが1000円に下げます。
そうすると、次はTシャツAは売れなくなるので、500円に下げて…という風に、どんどん泥沼の価格競争に入っていくんですね。
これは非常に極端な事例ですが、「価格でしか違いが生み出せなくて、価格競争に巻き込まれている」と同じような構図が、どんな業種業界でも起こっています。
価格でしか、明確な違いを生み出せないことはビジネスをやっていく上で、致命的なのです。
だから、重要なのは「価格以外でどうやれば違いを生み出せるのか」ということです。
これが差別化であり、これができれば、ビジネスで大きな結果を生み出すことができます。
例えば、2010年にパナソニックが開発したホームベーカリーの「GOPAN(ゴパン)」がそうです。
このゴパンというホームベーカリーは、2010年にめちゃくちゃ大ヒットした商品です。
2010年の10月8日に発売予定だったんですが、マスコミ発表後予約が殺到したため、発売を11月11日に延期。
11月11日に発売が開始されて、2週間が経った、11月25日には、生産が追いつかなくて一時販売を中止。
12月には未使用のGOPAN(ゴパン)がオークションで10万円以上で取引されるくらい、ホームベーカリーの中では異例の大ヒットとなりました。
ホームベーカリーなんて高くても1万円くらい出せば買えますから、10万円以上で取引されるというのはどれだけ異常なことだったのかよくわかると思います。
では、なぜ、これだけ売れたのか?
それは、ゴパンにしかないホームベーカリーの機能があったからです。
その機能とは「米粉ではなく、お米から直接、パンができる」というものです。
これまでのホームベーカリーの機能では、お米からパンを作るとしても、米粉からしかパンが作れませんでした。
米粉は値段も高くて、ホームベーカリーを使う多くの人は、潜在的には「お米から直接パンが作れないかなあ」と思っていたんですね。
でも、そういう機能が搭載されたホームベーカリーは今までなかったわけです。
だから、ゴパンは、価格が高くても、あれだけ売れたんですね。
こういうことが、価格以外の「機能的な価値」で違いを生み出すという差別化です。
1-2.機能的価値の差別化の落とし穴
ただ、「機能的価値だけで差別化する」ことには落とし穴があります。
機能的価値とは何かというと、その商品・サービスが提供する基本的な価値です。
イメージでいうなら、機能や品質のことです。
例えば、先ほどのスマホで言えば、機能的価値は「電話ができる」「メールができる」といったものであり、美容室であれば「髪を切る」といったことがこれに当たります。
この機能的価値だけを高めて、差別化することは、非常に難しいです。
というのも、機能的価値を高めるのは、誰もが取り組むからです。
美容室だったらカットの技術を追求する。デザイナーだったらデザインスキルを追求する。料理人だったら美味しさを追求する。
それはプロであれば、誰もが当たり前のようにやっていることなので、そこだけでは差別化はしにくいんです。
しかも、機能的価値がある一定のラインを超えると、素人のお客さんでは違いが見極められなくなるという領域に来ます。
例えば、プロの美容師のカットスキルの細かな違いというのは、意外とお客さんには理解されません。
プロの目から見ると大きな違いがあるのかもしれませんが、お客さんからすると「同じように」見えていることがほとんどです。
また、たとえ、誰もが思いつかないような機能的価値を生み出せたとしても、ライバルに簡単に真似されます。
例えば「水中で動画撮影できるカメラを搭載した」というスマホが発売されるとします。
まだ、どこも出していないのであれば、売れる可能性が非常に高いでしょう。
でも、このスマホは、恐らく競合メーカーの社員に購入され、分解され、その機能を簡単にパクることができます。
そのまま構造までを丸パクリできなくても、アイディアを拝借して、違う構造を作り、同じ機能を持たせることは可能です。
こういう機能的価値を高めることは飽和化して、なかなか違いを生み出せないというジレンマはどんな業種業界でも起こっている構造ではあります。
だから、機能的価値は前提として踏まえつつ、それを超えたアプローチが必要になってくるわけです。
2.差別化戦略の事例
実際に現在、世の中で特に売れているものには、機能的価値以外の明確な違いがあります。
例えば、今治タオルなんかはそうですね。
タオル業界って、非常に差別化が難しい業界です。
だって、タオルの機能的価値って水分を拭き取ることで、それくらいのことだったら百均のタオルですら出来るからです。
だから、国産のタオルメーカーが、どれだけ品質が良いという機能的価値をアピールしたところで、外国から入ってくる安いタオルに惨敗するという構造が実際にあります。
今治タオルも、最初はこの構造に巻き込まれていってました。
でも、そこを大きく方針転換して、機能的価値以外のもので差別化していくようになったんです。
例えば、今治タオルは、ストーリーとデザインによって差別化していきました。
今治タオルのホームページには、
- 愛知県今治市は、120年間、タオル産業が栄えてきたタオルの聖地
- 今治は水源に恵まれ、その柔らかい水が、今治タオルの柔らかさを生み出している
- 「5秒ルール」という独自の品質基準を設け、タオル片を水に浮かべて5秒以内に沈むかどうか、どうかを調べて吸水性を保証
というタオルの製造の背景をストーリーとデザインによって伝えています。
こういうことを見たり、聞いたりするだけで「今治タオルは、物凄く質の高いタオルなんだ」と価値の高さを一瞬で認識することができます。
いわゆる感情的価値ですね。
感情的に「あ、このタオルいい!」ということをデザインというヴィジュアルやストーリーによって伝えることで、他のタオルブランドとは圧倒的な違いを生み出したんですね。
その結果、2枚で1万円もするようなバスタオルが飛ぶように売れていくようになりました。
バスタオルが100円で売られている時代にです。
今治タオルの価値というのは非常に高いと認識されて、今では贈答品としても使われるくらいです。
だから、機能的価値以外の感情的価値で違いを生み出していくというのも、これからの差別化には必要です。
次に具体的に、どうやれば、機能的価値以外で差別化していくことができるのかという話をしていきたいと思います。
3.差別化を図るための基本戦略
今の時代は、先ほど見てきた様に機能的な価値だけでは差別化は難しくなりました。
美容室なら「どこでカットしても上手く切ってくれる」、カフェなら「どこで食べてもお洒落だし、それなりに美味しい」、掃除機なら「性能もよく、細かいホコリも吸い込んでくれる」。
じゃあ、どうすればいいのか?
それは、感情的価値で差別化していくことです。
つまり「感情的に良さを感じてもらう」ということです。
例えば、Apple製品が選ばれる理由もここにあります。
機能どうこうよりも「なんとなく良い」「カッコイイ」「オシャレ」という理由で選んでいる人も大勢いると思います。
これが感情的価値です。
人間は論理だけではなくて、感情でも動きます。
特に機能価値で差別化が難しくなっている今、この感情的価値での差別化を上手くやっていく必要があります。
感情的価値での差別化は
- コンセプト
- ストーリー
- キャラクター
- デザイン
という4要素を使っていくとできるので、次は、感情的価値での差別化をどうやっていくのかについて話していきたいと思います。
3-1.コンセプトによる差別化
では、まずは「コンセプトによる差別化」について。
コンセプトとは、一言で言うと、世界観のことです。
もっと具体的に言うなら「どんな○○なのか?」という定義のようなものですね。
差別化できているところは全て、このコンセプトが明確に存在します。
例えば、「俺のシリーズ」という大ヒットした飲食店なんかはそうですね。
俺のシリーズは
- 午後4時オープン前に長蛇の列
- ピークタイムの待ち時間は2時間
- 良くても月商350万円しかいかないエリアで、月商1900万円を達成
など、驚異的な結果を出し続けました。
なぜ、これだけ人気になったのかというと、コンセプトが良かったからです。
どういうコンセプトかというと、
一流の料理人が高級食材を”じゃぶじゃぶ”使用した一流の料理を作り、お客様が驚くほど安い価格で提供する
というものです。
そりゃあ、「シェフが良くて、食材も良くて、価格も安い!」というそんな夢のような飲食店があれば、流行るに決まっています。
普通は、こんな3拍子そろった飲食店はありません。
腕の良いシェフと高級食材を使うのであれば、明らかに価格は高くなるからです。
でも、俺のシリーズは、このジレンマを「立ち食い」というスタイルを取り入れることで、解消していったんです。
どういうことかというと、「立ち食い」というスタイルを取り入れると、「着席」というスタイルよりも、明らかにお店の回転率が上がります。
お店の回転率が上がれば、たとえ、価格を安くして、一組あたりの利益が低くなったとしても成り立つというわけです。
世の中に飲食店というのは無数にあります。
そこから選ばれるためには「どういう違いがある飲食店なのか」ということを明言しないと選ばれないというわけですね。
コンセプトがあれば、その違いというのを一瞬で伝えることができるので、差別化につながるというわけです。
3-1-1.コンセプトの原型となる「理想世界」の構築
では、コンセプトは、どうやって作っていのか?
まずは「理想世界」の構築から始めていきます。
「理想世界」とは、簡単に言えば、お客さんを連れて行きたい理想の未来のことです。
これがコンセプトの原型になります。
実は、これを表現するだけでも、差別化に繋がります。
例えば、単なる髪を切ってくれる美容院Aと、「あなた本来の魅力が見つかり、髪を切るだけで人生が開運していく」美容室Bでは、全然、選ばれる確率が違うというのはわかると思います。
そして、この理想世界を分かりやすい「開運カット」というような分かりやすい言葉で言語化すると、それがコンセプトになります。
なので、まずは、自分のビジネスの理想世界を明確にしていきましょう。
そのためには、
- 誰に:どんな人にお客さんになってもらいたいのか
- どうなってもらいたいのか:どんな理想の未来に連れていきたいのか?
という2つの要素を考えていく必要があります。
まず、「誰に」というのは「どんな人にお客さんになってもらいたいのか」ということですね。
これを定めるだけでも、大きな違いを生み出すことができます。
例えば、ただの「どんな人でも来てください!」という美容室よりも、「カットを15分で終わらせます!日常で忙しくて髪を切る時間もない人はぜひ来てください!」という美容室の方が特徴が際立つのは理解できると思います。
ここを考えるときには、「ウケそう」というよりも、「自分の経験」から「どういう人に、お役立ちしたいのか、助けになりたいのか、喜んでもらいたいのか」ということを深く考えてみることですね。
というのも、たとえビジネス的に「ウケた」からといっても、それが自分の本音でなければ、ビジネスが長続きしないからです。
この「誰に」を考える時のポイントは、
- 年齢
- 性別
- 居住地
- 職業(年収)
- 家族構成
- 興味
- 悩み
を踏まえて考えると、具体的にイメージできるようになります。
具体的に1人をイメージできるくらいまでは想像できればベストですが、そうじゃなくても、典型的な人を思い浮かべられば良いです。
では、次に「どうなってもらいたいのか」について。
これは、この人たちをどういう理想の未来に連れて行きたいのかということです。
ここももちろん本音です。
「どうなってもらいたいのか」というのは、より具体的にイメージできるレベルまでに言語化するということがポイントになります。
例えば、単純に「痩せてもらいたい」というのはちょっと弱いんですね。
そういう言葉は、他の多くのライバルも言ってることなので、違いが際立たないんです。
だから、ここをユニークにしていくことが非常に重要です。
例えば、「痩せてもらいたい」という漠然とした言葉が出て来たなら
- どんな風に痩せてもらいたいの?
- なぜ、そんな風に痩せてもらいたいの?
- そういう痩せ方をしないと、どうなってしまうの?
- 何のために、そういう風に痩せてもらいたいの?
- そもそも「痩せる」って何?
- なぜ、そういう痩せ方が重要だと思ったのか?
というような問いかけをすることによって、理想の未来という世界観は、違いが際立っていきます。
例えば
- 一生、リバウンドしない、自然で、健康的な痩せ方
- そういう痩せ方をしないと、リバウンドを繰り返して、永遠に食事や運動に気遣い続け、情報に踊らされ続け、ダイエットをやり続けるループに入ってしまう
- 自分本来の魅力に気づき、周りと比較しない自信に溢れた人になってもらいたい
- 痩せるとは、自分に不必要なものを手放し、自分本来の魅力に目覚めること
- 自分自身が過去に、ダイエット商品を買い漁り、いつも自分に自信がなくて、そういうループに入ってしまっていたから、同じような境遇にいる人を救いたい
というような答えが出てくるかもしれません。
こういうことが出ることによって、初めて、コンセプトの原型となる「理想世界」のディティールをあぶりだしていくことができます。
なので、理想の未来を作るときは、ここを意識してみてください。
3-1-2.コンセプトの言語化
では、理想世界が完成したら、次にその理想世界を一言で表してみましょう。
世の中で売れている商品は、全てこのコンセプトの言語化という作業を終えています。
コンセプトを言語化することができると、人々に記憶されやすくなり、伝わりやすくなります。
例えば、イギリスのスポーツブランドのリーボックが出した「イージートーン」という大ヒットした靴があります。
この靴のコンセプトもちゃんと言語化されていました。
それは「履くだけでジム」です。
つまり、この靴を履くだけで、痩せるというものですね。
この明確でユニークなコンセプトは、ジムにも通えないほど忙しいOLさんに刺さり、大ヒットしました。
言語化のポイントは、一言で言うなら何というのかを考えることです。
- その商品・ビジネスが目指す理想の状態は何か?:ノマド(雇われない生き方)「遊牧民」
- その商品・ビジネスのコアは何か?:iPhone(i=internet,individual,instruct,inform,inspire)
- その商品・ビジネスが生み出す常識は何か?:GOPAN(ゴパン)「ご飯からパンができる」
- その商品・ビジネスのオリジナリティを示すものは?:吸引力の落ちないただ一つの掃除機(ダイソン)
こういうことを問いかけながら、自分が気にいる言葉を探したり、作ってみたりしてください。
どういうコンセプトが世の中にあるのか、リサーチをしていくのもアイディアを出すときのポイントですね。
3-1-3.コンセプトに必要な絶対条件
コンセプトには欠かすことができない絶対条件があります。
それは
- ユニーク性がある
- サイレントマジョリティーを代弁している
という2つの条件です。
この2点が揃うことによって初めて、コンセプトは完成します。
まず、コンセプトは、当然ですがユニークでないといけません。
ユニークとは他にはないということです。
もし、自分自身が作り上げたコンセプトが、他と似たようなものであったり、被っているのであれば、違いというのは認識することができません。
例えば、靴を販売するとして、「履くだけで痩せる」というようなコンセプトを打ち出しても、それはもう既にリーボックが打ち出しているコンセプトなので、「劣化版」のようにしか感じられないんですね。
ユニークなコンセプトを打ち出すためには、必ず競合がどういったコンセプトを掲げているのかを分析してみると良いでしょう。
ライバルを分析していくことで、まだないユニークなポジションが見つかると思います。
また、コンセプトは、サイレントマジョリティを代弁していることも重要です。
サイレントマジョリティとは「そうそう。こういうものが欲しかったんだよ」という口には出さないけど、皆が思っている潜在的なニーズのことです。
例えば、ローソンが開発したプレミアムロールケーキという大ヒットしたスイーツがありますが、これもサイレントマジョリティを代弁した商品でした。
画像出典:https://www.lawson.co.jp/
ロールケーキは、この商品が発売される前は、デパートなどでロール一本丸々売られていて、なかなか手軽に買いにいけるスイーツではなかったんです。
でも、多くの人は潜在的に「会社の休憩樹間なんかに、気軽に買って、食べれるロールケーキがないのかなあ」と思っていたはずです。
これがサイレントマジョリティーです。
これを代弁したロールケーキだったからこそ、ヒットしたんですね。
つまり、いくら奇をてらってユニークなコンセプトを打ち出しても、それが誰にも求められていないようなものであれば、選ばれないということです。
このサイレントマジョリティを調べるのもリサーチしかありません。
これは先ほど決めた理想世界の「誰に」の部分に該当する人に直接、リサーチしていくのがいいでしょう。
一番効果のあるリサーチ方法は、実際に雑談しながら対話してみることです。
アンケートをとるのもありですが、一番良い方法はできるだけ多くの人と対話することです。
- これまで食べた中で一番好きなロールケーキは?
- スイーツを選ぶときに大切にしていることは?
- これまでどんなスイーツを食べてきたのか?
- どういうロールケーキがあれば食べたいか?
など、そういう対話の中からサイレントマジョリティーを見つけ出すことができます。
多くの人と対話をこなせばこなすほど、共通のサイレントマジョリティーを導き出すことができます。
コンセプトを完成させるために、絶対に欠かすことができないピースなので、ぜひ、見つけてみてください。
3-2.ストーリーによる差別化
そして、二つ目は「ストーリー」による差別化です。
ストーリーを使うことも、コンセプト同様に、感情的価値による差別化につながります。
例えば、一時期、ヤフオクで、とある「赤いペンケース」が話題になりました。
なぜ、話題になったのかというと、定価2000円で買った赤いペンケースが約18倍の「35,853円」で落札されたからです。
別に、これは新品未開封で、普通の一般人が買った何の変哲も無い普通の「赤いペンケース」です。
にも関わらず、なぜ、これだけ高値で、売れたのかというと、商品説明に掲載されているストーリーが強烈に良かったからです。
2年前交際していた女性へのプレゼント用に購入したものです。
当時彼女は事あるごとに「学園祭の実行委員だから忙しい」と言っていたため、学園祭が終わって会えたときに渡そうと考え、9月頃に購入しておきました。
それから1月も経たないうちに彼女は学園祭実行委員で仲良くなった他の男と浮気をし、自分にはメールにてその旨の報告がありました。
当時の私は荒れに荒れ、その勢いで近所のキックボクシングジムに入会しました。
失恋によるあまりの辛さに一時は自殺も考えましたが、2年間猛練習を積みながら研究室での研究にも死に物狂いで取り組み、まさに必死に生きてきました。
そして先日、この「必死に生きてきた経験」を面接で赤裸々に語ることで、以前の自分自身では考えられないような大企業に就職が内定しました。
年末には自身の人生初となるキックボクシングの試合が控えています。
学生生活最後の年ということで、2年間トラウマとなっていた彼女の思い出を振り切り、自分自身の新時代の幕開けの第一歩とするべく、今回出品を決断しました。
この商品には私が必死に生きてきた「意志力」、そして「憎悪や悲しみを優しさに変える力」が宿っています。
我が家で飼っていたハムスターも、商品の外箱に触れただけで充電したてのヒゲ剃りのように元気になっていました。
人生に悩んでいる。許せない人がいる。過去にとらわれている。そんな方々が前に踏み出す決断をするための助けとなれば幸いです。
外見上は本革の赤いペンケースです。一切開封していませんでしたので外見は非常に綺麗ですが、数多の戦場をくぐり抜けてきたベテラン海兵隊員のような頼もしさを感じます。これが「生きる力」なのでしょうか。
状態の感じ方には個人差があることをご理解の上、ノークレーム、ノーリターンでお願い致します。また、入札者の方の評価によってはこちらから入札を取消させて頂く場合もございますので、ご了承ください。
いやあ、良いストーリーですよね。笑
このストーリーを聞くだけでも、本当にこの赤いペンケースに「意志力」が宿っているかのように感じます。
これがストーリーの力です。
何の変哲も無いペンケースですら、ストーリーが付加されることによって価値を感じてしまうんです。
ストーリーが生み出すのは「繋がり」です。
- なぜ、この商品が生み出されたのか
- 誰が、この商品を生み出したのか
- どんな人がこの商品を使い、どういう変化があったのか
ストーリーで表現すれば、この「ペンケース」の周りにある背景が感じられるようになります。
その背景や関係性に、人は価値を見出します。
その時、「ただのペンケース」が「特別なペンケース」になるんです。
だから、どんなビジネスをやっているにせよ、このストーリーを使わない手はないのです。
実際にビジネスでは
- 自分のストーリー
- お客様とのストーリー
の2つをよく使います。
まず、「自分のストーリー」について。
「自分のストーリー」で問われることは「なぜ、自分はそのビジネスをやっているのか?」ということです。
今、自分がそのビジネスをしているのは、過去に様々な出来事があった上で存在しているはずです。
衝撃的な一杯のお茶にであったからお茶屋をしているのかもしれないですし、一流のデザイナーの仕事現場を見学して憧れたからデザイナーを目指したのかもしれません。
人は、そのストーリーを聞いた時に「ただのお茶屋さん」「ただのデザイナー」を超えた価値を見出します。
しかも、その過去の出来事というのは、自分だけのものであり、唯一無二の価値を持ってます。
まずは、今の自分が存在するために重要だった過去にあった出来事を洗いざらい書き出して、文章にして繋げる事をお勧めします。
ストーリーというのは書くだけで差別化になります。
そして、書き方の順序としては、過去、現在という風に書いたら、最後には未来という形で、今から自分は何を目指していくのか、誰のために何のために活動していくのかという先ほど構築した理想世界を書いてみましょう。
プロフィールページを用意していない場合は、用意してこの自分のストーリーを掲載しましょう。
そして、二つ目が「お客様とのストーリー」です。
これも表現できると、「この会社、お店、商品に関わった先の未来」を疑似体験できるので、とても強力な選ばれる理由になります。
例えば、「アニヴェルセル」という結婚式場を運営している会社があります。
この会社がお客様とのストーリーとして「“最高の記念日”~感動のサプライズプロポーズ~」という動画を公開しました。
この動画はインターネット上で反響を呼び、公開2ヶ月で、再生回数は100万回を超えて、今では200万回を超えています。
その後、アニヴェルセルへ来館した人の83%がこの動画がきっかけとなったと回答するほどの爆発的な集客力を生みました。
ただの機能的価値として「結婚式を挙げれる」結婚式場なんて、日本中でどこにでもあります。
今の時代、「ただの結婚式場」として存在していては、確実に価格競争に巻き込まれます。
でも、アニヴェルセルは、この動画があることで、「特別な結婚式場」になりました。
機能的価値を超越し、「こんな素敵な式場があるんだったら、ここの式場で挙げたい」となるんです。
これは、なぜか?
動画を通して、他人のストーリーを疑似体験できるので、「ここに自分の未来を賭けてみたい」と思えるようになるからです。
だからこそ、お客様とのストーリーは重要なんですね。
お客様のストーリーを集めるなら、臨場感が高いものを集めたいですね。
お客様のストーリーを集める時は、「購入するきっかけ」「購入後どうだったのか?」というのを丁寧にアンケートをとるというのがポイントです。
熱心に書いてもらえそうな人や、写真の掲載が大丈夫な人や、動画に出演してくれそうな人に依頼するのが良いですね。
そこに込める熱量というのは明らかに表現されてしまうので、適当に書かれるくらいなら載せないほうがいいです。
数は最初は5つくらいとればいいでしょう。
これもプロフィールページ同様に「お客様の声」というページを用意して、掲載すると良いでしょう。
3-3.キャラクターによる差別化
では、次にキャラクターによる差別化について。
これは「誰が」という要素によって差別化することです。
「誰が」というのは、強力な選ばれる要素になります。
例えば、株式会社アールエフという医療機器を開発している会社があります。
創業は、1993年。
それ以来、業績は非常に好調で、
- 初年度:年商4000万円(従業員2人)
- 2000年:7億2000万円(従業員30人)
- 2001年:9億3000万円(従業員45人)
- 2005年:36億円(従業員151人)
本社移転は合計8回もするほど、順調な企業があります。
なぜ、ここまで順調に売上も伸び、社員数も増えていったのかというと、「内視鏡カプセル」という商品を世界で初めて開発したからです。
画像出典:http://bplatz.sansokan.jp/archives/5053
従来の内視鏡は、筒状のファイバーを口から食堂の奥へと挿入し、相当な苦痛を伴います。
大人でさえこの苦しさが原因で検査を拒否する人がいてますし、子どもや赤ちゃんが感じる苦痛なんて計り知れません。
世界に衝撃を与えたこの商品をなぜ作りあげることができたのか?
そこには、創業者の丸山社長の思いがありました。
丸山社長は、三人兄弟の末っ子として、長野県の上田市というところに生まれました。
家は、お父さんが鉄工所を経営していましたが、職人気質なところがあり、商売はうまくいかず、家計は常に苦しかったそうで、母親が家計を助けるために、家事以外にも出稼ぎに行ってたそうです。
その苦労がたたったのか、丸山社長が小学1年生の時に、母親は体を壊し、ある時、激しい発作と共に、息もできずに苦しんだことがあったそうです。
でも、その時、父親は遠くに出稼ぎに出ており、母親のそばには、兄弟3人しかいません。
とにかく医者を呼ばないといけない状況に追い込まれた3人は、駆けずり回って、色んな病院に往診を断られながらも、家に3人の医者を連れてきました。
ですが、その3人の医者は家に入ろうとせず、
「先生が主治医なのですからどうぞ。私は専門が違いますから」
と玄関前で譲り合っていたそうです。
この時、
「お袋は死にそうなのに、ちくしょう…」
「体の中に何か機械を入れて、体の中の様子がわかるようになれば良いのに」
と思ったそうです。
これが内視鏡カプセルの原点です。
丸山社長は、病に苦しんでいる人、特に小さな子どもの命をもっと救いたいと本気で思っています。
そのことは、アールエフが、これだけ世界に誇れる技術を持っているにも関わらず、「特許申請をほとんどしない」ということにも現れています。
普通、企業であれば、自社の儲けを考えて、バンバン特許申請をします。
でも、それをせずに、基本的にはオープンにしているんです。
なぜか?
医療機器は、人の命を救う機械であり、特許を申請したことによって、自社の生産が間に合わなかったら、救えたかもしれない命が救えなかったとなるかもしれないからです。
- 特許申請
- 金
そんなものよりも、大切なものがあると、わかっているんです。
アールエフと同時期にカプセル内視鏡を作っている企業がイスラエルにもありましたが、どうせ使うんだったら、アールエフの製品を使いたいと誰もが思うはずです。
アールエフで働きたいと思う人もいるかもしれません。
「こんな人がやっているなら、選んでみたい」というのがキャラクターの力です。
キャラクターで差別化していくためには、キャラクターを意図的に表現していく必要があります。
どれだけ熱い想いや良いストーリーを持っていても、それを表現しない限り、相手に伝わることはありません。
だから、Webサイトのプロフィールやスタッフ紹介のページなどを整えるということは非常に重要になります。
そういったページを整える時には
- 何を大切にしているのか
- 何にこだわりを持っているのか
- 何のためにその仕事をしているのか
- これまでどんなストーリーを歩んできたのか
- 仕事をしていて、自分はどんな瞬間が輝いていると思うのか
ということを表現するといいでしょう。
特に重要なのは、「何を大切にしているのか」という価値観ですね。
同じレベルのカット技術を持っている美容師でも、
- 他にはない個性的な髪型にすることを大切にしている
- 流行よりも、その人に似合う髪型かどうかを大切にしている
- 長期的に見て、その人の健康を大切にしている
文字や写真で表現するだけで、選ぶための基準ができます。
自分自身の価値観を表明することで、それに共感するお客さんが集まってくるので、お客さんの質が上がることにも繋がっていきます。
ただ、キャラクターは自分のビジネスの変化とともに変わっていくものだと思うので、まずはこれでやってみようという程度で決めて、自分のプロフィールページや日々の情報発信に反映させていきましょう。
いわゆるセルフブランディングですね。
3-4.デザインによる差別化
では、最後の差別化の項目として、デザインということについて話していきます。
デザインは、明らかに差別化に繋がります。
それは、Apple製品、今治タオルやダイソンなどにも言える事で、あれらの製品はデザイン性が非常に高いというのも差別化の要因になっています。
デザインでなぜ差別化ができるのかというと、「一瞬で視覚的に違う」と思わせることができるからです。
特にネット上では、Webサイトのデザインだけでも「他とは何か違う」と思わせることができれば、十分な差別化に繋がるのです。
では、「競合には無い奇抜なデザインをすればいいのか?」というと、そうではありません。
デザインで重要なのは、世界観を体現したデザインであるということです。
世界観とは、今まで見てきた「コンセプト」「ストーリー」「キャラクター」のことです。
自分が扱っている商品は、こういう人の為にあって、こういう理念があって…といった事を表現できるデザインをサイトに組み込むことで圧倒的な差別化になります。
デザインは、できるだけプロに任せるのをお勧めします。
今は便利な時代でそれこそブログやホームページは素人の人でも少しの時間さえあれば、簡単に作る事が出来ます。
でも、やっぱりデザインという技術は簡単には真似できないんです。
自分で頑張って作ろうとしても、逆にショボくなってしまったりするだけで、逆に自分自身の信用を下げてしまう可能性だってあります。
ただ、プロに頼む場合も「コンセプト」「ストーリー」「キャラクター」を意識してデザインが出来るような人に頼むと良いでしょう。
一口にデザイナーと言っても、「なんとなく」作っているデザイナーと、しっかり「世界観」を表現できるデザイナーの2種類がいますからね。
後者に頼まないと、「なんとなく」のデザインでしか仕上がってきません。デザイナーでもある私が言うからには間違いありません。
デザインの部分は、自分の予算や状況に応じて投資する価値は十分にありますよ。
やっぱりネットからの差別化を考えると、Webサイト以外ないですから、そこのデザインである程度判断されてしまいます。
どれだけ素晴らしいことを言っていても、「うわ、このサイト汚いわぁ」と思われて、一瞬で閉じられてしまえば、元も子もないですからね。
【無料WEBセミナー】選ばれ続けるNo.1ブランドの作り方をプレゼント中!
当ブログをここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
ここまで読んで頂いたあなたにだけ、「高単価でも競合が増えても選ばれ続けるNo.1ブランドの作り方」について、解説した「WEBセミナー」をプレゼントします!
WEBセミナーを受け取るためには、以下のバナーをクリックして、LINEのアカウントに登録してください。
登録後すぐに自動返信メッセージにて、WEBセミナーをお届けします。
差別化を図る戦略のまとめ
では、最後にまとめをしておきますね。
今の時代は、選択肢が過剰にあり、全ての商品やお店が同じ様に見えるのが現代という世界。
明確な違いが無ければお客様から選ばれないし、明確な違いが無ければ、価格競争に簡単に巻き込まれます。
だからこそ、意識的に差別化を行っていく必要があります。
ただ、差別化はコピーが簡単にできる機能的価値(商品・サービスが提供する基本価値)だけでは難しいです。
なので、コンセプト 、ストーリー、キャラクター、デザインといった感情的価値で差別化していくことが重要です。
差別化の前提にあるのは「他には無い」ということです。
常にこの4つの意識で、まずは競合となるところを見て、「何が存在していて、何が存在していないのか」を見て下さい。
そこからしか、ユニークなものは生み出せませんし、差別化は出来ません。
そして、差別化するために設計した、「理想世界」、「ストーリー」、「キャラクター」、「デザイン」は意識的にインターネット上で表現していく事が重要です。
繰り返し、自分自身の世界観を表現していく事で、市場の中で圧倒的にユニークな存在となり、お客様から選ばれるようになります。
では、今回は以上です!お疲れ様でした。