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2020.6.4 (更新日:2021.7.28) | ブランディング戦略

価格競争が起こる原因と抜け出すための方法について徹底解説

価格競争が起こる原因と抜け出すための方法について徹底解説

どうも!ブランドクリエイターの中江です。

「価格競争ってなぜ起こるの?」「具体的にどうやったら抜け出せるの?」という人は意外と多いんじゃないでしょうか?

ビジネスをやっていると、気づけば、価格競争に巻き込まれているということはよく起こります。

ですが、価格競争から抜け出すことができなければ、いずれそのビジネスは疲弊し、衰退していきます。

なので、今回は「価格競争が起こる原因」と「価格競争から抜け出すための方法」について解説していきたいと思います。

では、早速始めていきましょう!

1.なぜ、価格競争は起こるのか?

では、まず、なぜ、価格競争が起こるのかというメカニズムについて解説していきたいと思います。

1-1.お客さんに選ばれるには?

ビジネスというのは当然ですが、お客さんから選んでもらうからこそ、成立します。

そして、お客さんに選んでもらうためには「価値」を感じてもらう必要があります。

価値を感じてもらえなければ、選ばれることはありません。

価値とは「違い」のことです。

「違い」があるからこそ、人は選ぶことができます。

例えば、ここに全く同じ品質の3000円の赤いTシャツAとTシャツBがあるとします。

赤いTシャツ

作っているメーカ、作り方など、全てが同じです。

どちらかの赤いTシャツを買うとしたら、どちらを買うでしょうか?

多分、答えは

  • どっちでもいい
  • 選べない

となるはずです。

これは「違い」がないからです。

でも、ここに「違い」を一つ混ぜるだけで、人は選ぶことができます。

例えば、「色」というデザインの違いを入れてみましょう。

赤と青のTシャツ

そうすると、赤色が好きな人は赤のTシャツを選ぶでしょうし、青色が好きな人は青のTシャツを選びます。

材質や価格や作り方は全く同じですが、カラーが違うだけで、人は選ぶことができるのです。

だからこそ、お客さんに選ばれるためには「価値=違い」を感じてもらうことが大事ということです。

1-2.選択肢過剰時代

特に「一目で違いがわかる」というのが重要です。

むしろ、それくらいでないと、これからの時代は生き残っていくことができません。

というのも、現代は選択肢過剰の時代だからです。

今の時代は、何を選ぶにしても選択肢がたくさんあります。

例えば、Tシャツを買うとしても、ZOZOTOWNにいけば、メンズのTシャツだけで10万点以上あります。

zozotown

昔はこれほど多くの選択肢はありませんでした。

インターネットもなかったですし、せいぜい、自分の移動範囲内のお店の少ない選択肢から、吟味して選べた時代でした。

ですが、インターネットの登場とともに、何を選ぶにしても、膨大な選択肢から選べるようになったのです。

そうなると、当然ですが、いちいち全ての選択肢の違いを吟味して選ぶことはできません。

10万点のTシャツを一つ一つ吟味しながら選ぶのは不可能です。

だから、今の時代は、誰もがパッと見たら分かるくらい圧倒的に突き抜けた「違い」を持っている会社が選ばれ、そうじゃない会社は淘汰されていきます。

例えば、掃除機で一人勝ちしているメーカーだとダイソンが有名だと思います。

吸引力の落ちないただ一つの掃除機

というキャッチコピーに、サイクロン掃除機という機能性、そして何よりも従来の掃除機の概念を覆すような斬新なデザインで、日本でも爆発的なヒットを家電メーカーです。

ダイソン

おそらく、掃除機などの家電について詳しく知らない人ですら、ダイソンの掃除機は知ってると思います。

ダイソンの売上は絶好調で伸びており、たった4年間で日本での売上は3倍になったそうです。

その他にも羽のない扇風機や発売前に予約が殺到したドライヤーなど、その勢いは止まることを知りません。

1-3.価格で違いを生み出すという罠

では、「違い」を生み出すためにはどうすればいいか?

方法は様々あり、同じような商品・サービスであっても、

  • 機能
  • 品質
  • コンセプト
  • ストーリー
  • キャラクター
  • デザイン

など、ありとあらゆる面で違いを生み出していくことはできます。

例えば、2010年に発売が開始されて大ヒットしている「バーミキュラ」という鍋があります。

ヴァーミキュラ
画像出典:http://hiroba-magazine.com/

バーミキュラの価格は3万円で、相場の3~5倍以上する価格帯ですが、累計で30万個以上売れているという鍋です。

なぜ、相場よりもかなり高い価格でも売れているのか?

理由は様々ありますが、一つはこれまでの鍋との機能面の違いがあります。

バーミキュラは、史上最高の美味しさを引き出す究極の鍋を目指しました。

それまでに美味しさを引き出す鍋として有名だったのが

  • ステンレス製の鍋
  • ホーロー加工した鋳物の鍋

という2種類の鍋でした。

ステンレス製の鍋は機密性が高く、無水調理ができます。

鍋を使って料理する場合は、鍋に水を入れるのが普通だと思いますが、水を入れると、食材が持つ本来の味が薄まってしまいます。

ですが、ステンレス製の鍋を使うと、鍋に水を入れなくても、食材の水分を引き出すことができ、旨味成分や栄養素も水蒸気として逃さずに、調理することができるんですね。

ただし、旨味を引き出すという観点からいうと、「熱伝導」も大切になります。

その点は、ホーロー加工された鋳物の鍋の方が得意です。

というのも、鋳物は保温性に優れていますし、さらにそこにホーロー加工が加わることで、遠赤外線効果を出すことができ、食材を芯から温めることができるのです。

ですが、鋳物は形が変わりやすく、気密性が保てないため、ステンレスの鍋のように無水調理はできませんでした。

バーミキュラは

  • ステンレス製の鍋
  • ホーロー加工した鋳物の鍋

という2つの鍋を掛け合わせて作られた鍋です。

だから、ステンレス製の鍋のように無水調理ができて、かつホーロー加工された鋳物の鍋のように食材を芯から温めて、これまでにない旨味を引き出すことができるのです。

ホーロー加工された鍋は世の中にはありましたが、無水調理ができるほどまで気密性が高い鍋は世の中になかったのです。

これがバーミキュラが大ヒットし、多くの人から選ばれた理由です。

バーミキュラは機能面で特に大きな違いを生み出した鍋でした。

ただ、「違い」を生み出すという観点からいうと、一番、簡単で誰でもできるのが「価格」で違いを生み出すということです。

今朝、スーパーマーケットの業界における生き残りに関するドキュメンタリーを見ていました。

スーパーマーケットの業界というのは、少子高齢化の影響もあって、右肩下りになっています。

そんな市場の傾向がある中で、どうやって生き残るのかを特集していたのですが、日本で一番、売上を伸ばしているスーパーは「価格」によって違いを生み出すという戦略をまさにこれを実践していました。

スーパーという業態は基本的には卸です。

新しく商品を作るのではなく、もう既に誰かが作った商品を仕入れてきて、売るというモデルなので、違いを生み出すのはそう簡単ではありません。

他のスーパーと売っている商品が全く同じということもあります。

特集されていた売上の伸び率が日本No.1のスーパーマーケットは、とにかく他店よりも安く商品を販売していました。

例えば、他店では同じメーカーの水が2リットル100円するのが、そのスーパーでは50円程度で買えます。

他のスーパーマーケットだと、合計で1万5000円くらいする買い物が、この店で同じものを買えば1万円以内に済むので、お客さんは殺到します。

近所の他のスーパーとは、目に見える形で違いが明らかだからです。

このスーパーが進出してきたら、地域の物価が安くなると言われているそうです。

価格は数字であり、誰もが明確にわかる共通言語です。

100円と200円の違いは、小難しい説明なく、一目で誰もが分かります。

それに価格によって、違いを生み出すという行為は他の手段に比べると超簡単です。

バーミキュラーだって、あの機能性の違いを生み出すのに、3年かかっています。

失敗作も1万個あるそうです。それでやっとできたのです。

鋳物の製造過程

「価格」で違いを生むという行為は手軽であるがゆえに、多くの経営者が手を出そうとします。

ですが、それで違いを生むと、「価格」でお客さんに選んでもらうということになります。

「価格」でお客さんに選ばれることには大きな弊害があります。

それが「終わりなき競争」に巻き込まれてしまうということです。

「価格」で選ばれたら「価格」という理由でお客さんは離れていきます。

例えば、「2000円でカットできる」という安さが理由で来たお客さんは、近所に「1000円カットができる」お店ができたらそっちに移ります。

じゃあ、そのお客さんを呼び戻そうと思ったら、次は1000円より安く価格設定を変えない限り無理です。

この価格を下げ合う無限ループがいわゆる価格競争です。

さっき紹介したスーパーマーケットは近所の競合店と「うどん」で価格競争になり、最終的には「うどん3玉1円」で販売して、勝利したそうです。

ですが、それはもう勝利なのか、何なのかよく分かりません。笑

しかも、価格競争というのは、最終的に勝つことができるのは、大企業だけです。

個人や中小企業というのはスケールメリットや資本力が限られているからです。

同じ赤いTシャツを扱うにしても個人店だと100着仕入れるのが限界だとしても、大手だと1万枚とか仕入れられます。

当然ですが、仕入れ先としては大手を優遇し、仕入れの値段も下げてくれるので、勝てないというわけです。

また、美容院だったら、近い将来、技術が発達して、理想の髪型をタッチパネルで選ぶだけで、ロボットが完璧に再現してくれるようになるかもしれません。

そうなれば、ほぼ人件費はかかりませんし、24時間開けられるので、1000円カットどころか、500円とかでもできるようになるかもしれません。

だから、安直に価格だけで違いを生んで、お客さんに選ばれようとすることはやめた方がいいということですね。

2.価格競争から抜け出すための方法

では、次に価格競争から抜け出すための具体的な方法について解説してきたいと思います。

2-1.価格競争を抜け出すとは?

価格競争から抜け出すためにはどうすればいいか?

それは「比較検討を挟まずに自動的に選ばれる」という状態を目指すべきです。

例えば、あなたが美容院をやっているなら、

美容院に行くなら、このお店以外あり得ない

とお客さんから思われるような状態を作ることです。

言い換えるなら、ブランドになることです。

ブランドとは究極の価値であり、替えの効かない存在のことです。

替えが効かなければ、価格が高くても選ばれます。

先ほど、紹介したダイソンもバーミキュラーの製品も相場よりも価格は高いですが、お客さんが殺到しています。

まさにそういう状態を目指していくべきなんですね。

とにかく価格競争を抜け出すためには、価値を高めていく必要があるということです。

2-2.価値の種類

価値には大きく分けて、2種類があります。

それが

  • 機能的価値
  • 感情的価値

です。

1.機能的価値

機能的価値というのは、その商品・サービスにおける基本的な価値のことで、具体的にいうと、

  • 機能
  • 効能
  • 品質

がそれにあたります。

この4つの側面のどれかが抜きん出ているだけでも、選ばれる可能性というのは非常に高まります。

例えば、バーミキュラーはこの機能的価値が抜きん出ていました。

この世の中に存在する鍋の中でも、旨味を引き出すという観点からも機能的価値が最も高いと言っても過言ではありません。

例えば、

  • 無水調理ができて、旨味成分を逃さない
  • 遠赤外線の効果で食材を芯から温めることができる
  • 保温性が高い

など様々な機能的価値があったからこそ、価格が相場の鍋よりも高くても大ヒットしたのです。

野菜嫌いだった子どもが、バーミキュラーを使って調理した野菜なら、美味しそうにたくさん食べるそうです。

当然ですが、ビジネスをやるのであれば、この機能的価値というのは高めていかないといけません。

この機能的価値の高さは最低限なければ、まずお客さんから選ばれるということはありません。

例えば、ラーメン屋をやっているのに、お客さんに出しているラーメンが不味ければ、その店は潰れます。

どれだけ良い想いで美容院をやっていても、カットが下手くそ過ぎて、クレームが出るような店は潰れるというわけです。

だから、ここは最低限高めていく必要はあります。

また、人は「機能的価値」だけで商品・サービスを選びません。

2.感情的価値

感情的に「良い」と思ったものも選びます。

例えば、デザインとかもそうです。

品質や価格が同じ赤色と青色のTシャツの話をしましたが、この時の選ぶ基準は

  • 赤色が好きだから
  • 青色が好きだから

という具合にデザインでした。

赤と青のTシャツ

デザインは感情的価値の一つです。

これも選ばれる一つの基準になるということですね。

感情的価値には大きく分けて

  • コンセプト
  • ストーリー
  • キャラクター
  • デザイン

の4つの要素があります。

まず、最初のコンセプトについて。

コンセプトとは

どんな○○なのか?

というブランドの定義です。

先ほども言ったように、どんな業種業界であれ、今は選択肢過剰の時代です。

だからこそ、明確な定義を伝えることができれば、一目で違いが分かり、多くの人の目に止まるようになるのです。

その役割を担うのがコンセプトです。

世の中でヒットしてきたものには必ず、明確でこれまでにはなかったコンセプトがあります。

例えば、2001年に販売を開始したイエローテイルというワインがあります。

イエローテイルは世界で数十億本以上売れて、アメリカ国内では史上最大の販売量を誇ったワインがあります。

イエローテイル
画像出典:http://www.sapporobeer.jp/wine/yellowtail/

一体、何がこれだけの成功に繋がったのか?

それは

気軽に楽しめるワイン

というコンセプトが良かったからです。

2001年の当時、ワインというのは「どこか敷居が高くて、買いにくい」という印象が若い世代を中心にあったそうです。

味も複雑でよく分からないし、選択肢がいっぱいでどれを選べばいいのかも分からないから、若者はビールやカクテルを飲むという状況があったそうです。

そのポイントをついたのがイエローテイルでした。

味はフルーティーで飲みやすく、シンプルに、ラベルも分かりやすくして、若者でも気軽に買えるようなワインブランドにしました。

イエローテイルが世に出るまでにそのようなワインブランドはなかったですし、だからこそヒットしました。

これが簡単にいうと、コンセプトです。

ワイン業界の中での自分たちの立ち位置を明確に表現できたからこそ、選ばれたのです。

もちろん、このコンセプトに若者の多くは共感しましたが、ワイン通の人にとっては受け入れられないという人も多くいたかもしれません。

でも、全員に受け入れられる価値なんてものはありませんし、感情的価値というのはそういうものなのです。

コンセプトについては以下の記事でも詳しく解説しています。

ブランドコンセプトとは?具体例から効果的な作り方まで完全解説
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では、次にストーリーについて。

ストーリーとは、その人・商品に関する背景のことです。

これも感情的価値であり、選ばれるための大きな理由になります。

例えば、中央タクシー株式会社というタクシー会社があります。


画像出典:http://funaifound.or.jp/report/chuotaxi/

中央タクシー株式会社は長野県No.1の売上を誇り、利用は電話予約で9割りが埋まるという圧倒的に地元から支持されているタクシー会社です。

お客さんとの感動的なエピソードも様々あるんですが、

雨の日に、駅前にあるタクシー乗り場にも並ばず、傘もささずに

私、待ってた。中央さん待ってたんだよ

というお客さんがいるほどです。

中央タクシーの代表は宇都宮さんという方なんですが、なぜ、このタクシー会社を始めたのか?

このタクシー会社は、宇都宮さんのお父さんの代から始まりました。

お父さんはその当時バス会社を経営しており、ある時、地元の組合から

長い労働争議が起きているタクシー会社を再建してほしい

と頼まれ、それを引き受けます。

宇都宮さんは父親と二人で、このタクシー会社の再建に取り組み始めます。

ですが、長い労働争議が原因で、社員の心は荒んでおり、状況は悲惨でした。

社員がやっていたことが無茶苦茶だったそうです。

宇都宮さんがある時に出社すると、タクシー乗務員が

無賃乗車だ!

と言って、中年の男性のお客さんに向かって、ホースで水をかけて、引きずり回していたそうです。

まず、社員にそれを止めさせて、話を聞いてみると、そのお客さんは確かに手持ちのお金はありませんでした。

ですが、

家にはお金があるから、着いたら支払う

と言っていたそうです。

宇都宮さんはとにかくその男性に謝り、タクシーを手配して家まで送ろうとしますが、

こんな会社のタクシーには二度と乗りたくない

と言われ、奥さんに迎えに来てもらうことになりました。

夫の姿を見た奥さんは絶句し、言葉を失い、その男性は迎えに来てもらった車の助手席で泣いていたそうです。

その光景を見た宇都宮さんはお父さんに

この会社は潰すべきだ!

と訴えますが、累積赤字が1億円以上あり、すぐに潰せるような状況ではありませんでした。

その後、数年でなんとか借金を返しきり、再建を果たしましたが、

理想とするタクシー会社をお前は作れ

と言い残し、お父さんが亡くなりました。

宇都宮さんは、この言葉をきっかけに、今の中央タクシーの原型を作り上げます。

とにかく「お客さま本位のサービス」をできるように改革していくのです。

まずは採用基準を「未経験者のみ」に変更しました。

経験者は確かに即戦力ですが、言うことを聞かない横柄な態度を取る乗務員ばかりだったので、そうしたのです。

そして、社員教育の制度を整備して、資金繰りが苦しい中でも、DVDやマニュアルを作り、

  • ドアサービス
  • 接客
  • 自己紹介
  • 全車禁煙

など、長野県のどこのタクシー会社もやっていないような質の高いサービスを提供できるようにしました。

ですが、こうした「お客さま本位のサービス」は、同業者の組合に嫌われました。

中央タクシーがサービスの質を上げることによって、自分のタクシー会社が選ばれなくなるからです。

中央タクシーには乗らないほうがいい。一番事故が多いから

なんて噂まで流されたそうです。

宇都宮さんはそれに対して猛反発して、地元のタクシー組合を脱退します。

これは経営者としては、とても大きな決断でした。

というのも、全国で使えるタクシーチケットを使えなくなるからです。

これは、その当時の中央タクシーの売上の40%以上を占めているほど大きな金額でした。

そんな売上よりもお客さまに寄り添うタクシー会社を作りたかったんです。

長野オリンピックの時もそうでした。

オリンピックはタクシー会社にとっては特需です。

メディア関係者がこぞってタクシーを押さえようとするので、通常の料金設定の2~3倍にしても枠が埋まるのです。

でも、この中央タクシーはメディア関係者の予約を全て断りました。

というのも、いつも使ってくれている地元の人たちが使えなくなるからです。

そういうサービスをやっているのが、中央タクシーなのです。

と、ここまで中央タクシーのストーリーをお話しましたが、これを聞くだけでも

中央タクシーを利用してみたい

となるはずです。

これがストーリーの力です。

ストーリーは後追いで真似できないという強みもあります。

宇都宮さんが歩んできたストーリーは他の人が歩むことはできないからです。

だからこそ、ストーリーを生かした価値作りができれば、時代を超えて繁栄していくようなブランドを作っていくことさえ可能です。

ストーリーについては以下の記事でも詳しく解説しています。

価格競争が起こる原因と抜け出すための方法について徹底解説
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では、次にキャラクターについて。

キャラクターとは「どんな人がやっているのか」という価値ですね。

もう少し具体的に言うのであれば、

どういう想いでやっているのか?

という部分ですね。

同じような品質、同じような価格で提供されている商品・サービスはごまんとあると思いますが、それを扱っている人がどういう人なのか、それも大きな価値を持ちます。

例えば、古民家などの既存の住宅を改装して、新築だった頃よりも大きな付加価値がある住環境に生まれ変わらせるリノベーションというサービスがあります。

リノベーションは、自分のライフスタイルにあった住環境を、新築よりも安い価格で実現できるので、今、大変、人気なサービスです。

でも、このサービスもただ単に

リノベーションって、今流行っていて、儲かりそうだから

という想いでやっている人に頼むのか、

リノベーションをきっかけに、その家庭にコミュニケーションが生まれ、温かみが生まれるような住環境を作っていきたい

という人に頼むのか、どちらに頼みたいですかね?

当然ですが、後者だと思います。

言い換えるなら、何に価値を置くのかという部分ですね。

住環境一つとっても、価値観は様々です。

  • とにかく長く住める家
  • とにかく安く住める家
  • スタイリッシュでかっこいい家
  • 家庭に温かみが生まれるような家

自分は何に重きを置いて、ビジネスをしているのか、それを表現していくことが重要です。

キャラクターについては以下の記事でも詳しく解説しています。

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そして、最後にデザインですが、これは視覚的要素ですね。

デザインの役割というのは、価値を非言語で伝えていくことです。

ブランドになっている会社の多くは、言葉で説明されなくとも

ここは何か違うな

と思わせることができています。

例えば、アップルの製品とかそうですよね。

Apple製品

相場よりも遥かに高い値段でも圧倒的に多くのユーザーから支持されています。

2018年のCounterpoint Researchが公開した調査では、iPhoneがスマートフォン市場の「86%の利益」を占有していたそうです。

デザインについては以下の記事でも詳しく解説しています。

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2-3.ブランドとしての方向性を定める

価格競争に巻き込まれないためには

  • 機能的価値
  • 感情的価値

の2種類を高めていけばいいというのはわかったと思います。

ただし、まず、重要なのはブランドとしての方向性を定めることです。

ブランドとしてどういう方向性を目指すのかによって、高めていく価値の方向性は変わってくるからです。

例えば、スーパーマーケットをやるとしても、

  • とにかく商品の種類が多いことを大切にする
  • フランス産の商品だけを取り扱うこと
  • 品質や作り手の思い

どの方向性でもブランドとしては作ることができますが、どの方向性で作るかをまずは決めなければ、価値も高めようもありません。

この全体としての方向性が決まらなければ、

  • 機能的価値
  • 感情的価値

を高めていくことはできないというわけです。

ここで問うべきなのは、

○○において何が究極なのか?

ということです。

例えば、家具屋さんをやるなら、

理想のリノベーションとはどういうものなのか?

を考えるということですね。

100人いれば、100通りだと思います。

その答えというのは、自分の人生経験によって作られた価値観によって変わると思います。

例えば、子どもの頃、コミュニケーションがなく、喧嘩ばっかりで冷たかった家庭が、引っ越して、住環境が変わったことによって温かみを取り戻したというストーリーがあるとします。

そういう人がリノベーションを事業にする会社を作ったら

リノベーションをきっかけに、その家庭にコミュニケーションが生まれ、温かみが生まれるような住環境を作っていきたい

というような方向性になると思います。

重要なのは

  • どんな人に
  • どんな商品・サービスを提供して
  • どうなってもらいたいのか?

この3点を書き出すということです。

そして、これに基づいて、

  • 機能的価値をどう高めていくのか?
  • 感情的価値をどう高めていくのか?

を考えていきます。

これが価格競争から抜け出していくための方法です。

もちろん、いきなり全てを体現できるわけではないと思います。

事業のステージによっては、一部しか再現できないこともあるかもしれませんが、今の環境で、できることから始めていくことが重要です。

3.価格競争のまとめ

では、最後に今回のまとめをしておきたいと思います。

まず、最初に価格競争が起こるメカニズムについてお話しました。

お客さんに選ばれるためには、違い(=価値)を生み出していく必要があります。

違いを生み出す方法は様々ありますが、一番手っ取り早く、簡単にできるのが「価格を下げる」ということです。

価格を下げれば、お客さんから選ばれますが、価格という理由で選ばれば、価格という理由でお客さん離れていきます。

自分よりも安い価格で提供できるプレイヤーが出てくれば、お客さんは簡単にそっちに移っていきます。

そうなったら、自分もさらに価格を下げないと選ばれないということを繰り返していけば、価格競争は起こります。

では、価格競争を抜け出すにはどうすればいいのか?

それは、ブランドとなり、比較検討されずに自動的に選ばれる存在になることが重要です。

そのためには、自分の分野において

何を究極の価値とするのか?

を定めて、その上で、

  • 機能的価値
  • 感情的価値

を高めていくことが重要でした。

では、今回は以上になります!お疲れ様でした!

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